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小銭を持って忍び込む
生臭い二つの身体で

薄汚れた僕らの下着は
日々の生の慎ましやかな残渣
死に対するささやかな抵抗

乾燥機をかけよう
余計な水分が
涙にならないよう ....
不意に
胸を 風が
攫う
泥が 溢れて
宙に舞う

あと何回?

あと何秒?

渡り鳥は惑星のルールに縛られてる

「魂だけになって旅に出たい日だってあるさ、
魂だけになって ....
偶然触れてしまった
手と手の間に
青い花火が散ったのを
キミは静電気だと言ったけれど
人と人の間に
ぶつかって発生する電気信号みたいなもんさと
ボクは思った
キミが粒ならボクもありふれた ....
熱すぎて飲めない
ミルクとぐるぐるかきまぜ溢れそう
カプチーノのカップが目の前で
ぐらり揺れた

そういえば、ここのお店で前にも仲直りしことあったね
仲直りして、あたしの好きなタルトをはん ....
車のフロントガラスも汚れています
黄砂の舞う季節ですから
灰色に立ち込めた巨きな空から
はらはらと小雨が落ちてきます
私のふるふる震える魂は
大地のあちらこちらを徘徊しています
 ....
傘を持っていたけれど
わざと濡れて帰りました。

一片の隙間も残さずに
体中がぐっしょりと濡れて
重たくなりました。

見えていますか。

濡れるのはイヤじゃないって
自分に言い聞 ....
君を咲かせた
僕は水をやった
ただそれだけ
日曜の朝の風に揺れる
君はとても綺麗に見えた
それは認めよう
ただ品がないね

春が来たっていうのに
無口な君は
黙ったまま枯れていた
 ....
弧を描く波打ち際で
世界の縫い目をたどる短い旅路
遠ざかる、境界を引き寄せ
空と海を縫う指先が左右に揺れる
「こっちだよ」または「バイバイ」
その境目のメトロノームが
いつかのあなた

 ....
空想ジプシー
目を閉じて浮かべる
思い出の端のほう
どうせ分かってあげられなくて
知ってあげることができない
そんな空白が
君にもあるんだろう

声も香りも横顔も
忘れる為にあったみ ....
ぷぅくりと
朱珠が浮かぶ指先を
ぱくりと咥えて見詰める先は
雄雄しく見ゆる棘ひとつ
禍々しき雰囲気も
神々しき表情も
なにひとつ纏わぬ棘は
柔らかな皮膚に
黒点を穿つ事 ....
私たちはいつも、彼女の事を考えていた。
塔の上に住む彼女は
軟禁されているわけではなく
むしろ、彼女の事を考えても会えない私たちのほうが軟禁されているわけではないかと考えるほどだ
それでも彼女 ....
月の瞳に
海が映るのか
海の鏡に
月が潤むのか

旅立ちはいつだって
こんな夜の、ブルー

マストを背にした
ひとつひとつの心に
青はなにを
語りかけるのだろう



 ....
あなたの行きつけのジャズ・バーへ
初めて連れていってもらった
薄暗い店内は煙草の匂いが染みつき
レトロな丸いテーブルと椅子が
老舗といわれる趣を物語っている


店のウエイターがにこやか ....
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