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春 一つを
この大地に 零し落として
木蓮 水仙 桜
路地の片隅に土を得た 草草の息吹
空は華やぐ靄で満ち足りる
陽光は語りつくして
艶やかに花 花を荘厳する
春を ....
おぼろな 三月
見晴らしのいい 場所で
遠く 帝都を仰ぎ見たくなる
両腕を広げると
風に 翼
東京タワーまで
フワリ フワリ 飛んで行けそうだ
春 霞
飛行の航跡に
....
龍の影を追う
内奥の土地で
龍の姿が見え隠れする
胸中の宮で
意味深に
瞳 輝かし
深く 遠く
私を導くがごとき仕草
妖艶の煌き
白龍の娘よ
下弦の弱い ....
常緑樹と
冬枯れの木々は
まだらに生息していて
こんな小春日和には
液化燃料の燃えかすは
静かに窪みに沈殿するから
常緑樹が光と濃厚な二酸化炭素で
光合成の声無き法悦に浸っていて ....
目配せを!
広く 薄い
鈍く沈んだ
充血した目で
この曇天から
見つめ続けた
梵天の瞳
遠くまばたきをしている
曇りの灰降る 夕に
大きく息をして
大気に散る 闇 ....
鮮やかに 雲が
青空から 吊り下げられて
細いナイロン糸が
結び目を のばして
雲は動く
己の腕の寂しさが続くかぎり
雲は行く
己の知らないくにざかい
雲の影が落ちる
....
明るみが つぶやく
影が出来ていて
潅木に 優しい陽光が
密かに 染み渡って
今日 静かな作業を編む
コスモスを風は包み
清涼な空気は
明るさを溶かし込む
ソーダ水の輝きで ....
それは 驟雨
我々は 再び
時空を追い越さなければならない
足早に車道を突っ切れ
大気の重々しい臭い
揮発油は燃焼を続けているから
注意深く
荒野の自然から学びなおし
そし ....
そして いつか
魂が おさまる場所
魂と肉体が完全に同期して
なに 過不足ない 満ち足りた
まわるい場所へと
全て 全ての 人々が
人生を楽しみ
取りたいだけの 汗を流し
満ち ....
東に開かれた 窓があった
ソファーにもたれて
書物に目を落としていた
部屋を採光された 光が
うねり 本を照らす
読み継ぐ事に 少し疲れ
目を空へと あげる
陽光は石をも貫き ....
都市は
石と風のコントラスト
開けきった 窓から
円形の空のしりぞき
視線は永遠を求め
白い雲を追う
近くに目を落とせば
中層住宅・オフィスビル
ガラスが日に輝き
祝祭の ....
空がこんなにも 開けて
甘い曇天が ひっそりと退くと
天空から秋の雲が垣間見え
私は視線もろとも 空へ 飛び込んでいる
空中を滑空する 夢
この秋空のなみなみとした 胸
陽光の ....
午前の陽が
空間に満ち満ちて
こぼれそう
木々の緑に
この陽光は 留まり
深い瞑想の光合成が
効率よく 静かに浸透して
一葉は重く 沈む
地球の裏側で
ラプラタ川のほとりで ....
夏がゆっくり 歩み
晩夏のうしお
ひたひたと
我が胸を濡らし
透明な羽根 輝き
つくつくぼうしは
夏の最終章を寂しげに歌い上げる
木々の圧倒的な緑の先に
秋の気配は
そよぐ風 ....
黄昏をそっと飲み込む部屋で
夕闇の迫ってくるのを
静かに 待つ
大いなる大地の
昼と夜を
この地球が音もなく航行するのを
額のにじむ汗に微風を感じながら
夕闇の光で織る
繭玉を ....