死にたい と
高齢社会に溶けた脳で
夏の高い湿度の中
叫ぶ
肌にまとわりつく
生き甲斐 は
段々と煩わしいものになってゆく
短い命で
生きることを精一杯謳う
セミに ....
微かにまるみを帯びた水平線から
紺、と翡翠色は曖昧に溶け合い
蛍光色のブイを揺らしながら
海風がしろい道を無数に拓いている
目の前に置かれたグラスの透明も
水晶の粒と汗をかき
夕闇 ....
１０万人の名前を書き並べてみる
書き並べてみる
書き並べてみる
ただ、ただ、
帯のように
書き並べてみる
それぞれの名前
いろいろな名前
....
二年生
あげようあげよう
手のヒラの空気ご飯
猫に犬にも
虫や鳥さんにも
父ちゃんや母ちゃんや
あの子にも
おたべおたべ
見えないけれど
僕も
あ ....
朝ごはん
和食、洋食、様々なれど
自給率は和食の方が高いのです
食料を輸入して
何を輸出する
紅いバラの花
紅いチュウリップ
紅いまんじゅうしゃげ
獲りたてのカツオ
....
驟雨と不可視的な大気からの氷の噴霧によって
夏の果物たちはいっせいに腐りゆく
森の中
まだ碧々とした葉のはざまに立てば
濃厚なる芳香
甘酸っぱくそして酔いをひき起こす淫靡な ....
エアコンをつけっぱなしにして、裸で寝たせいか
今日は少し、頭が痛い
のどが痛い
食欲がない
アボカドを半分に割って、醤油をかけて
スプーンですくって食べた
昨日のキスが忘れられなくて
....
あるひとが言った
世の中の戦争は
おとこが起こしたもの
おんなには罪の無いはなし
そして
ほかのあるひとが言った
そんなおとこを産み
育てたのは
わ ....
リノリウムの床に 不安定な緑
君は まだ 息をしている 午前０時過ぎ
祈りのために組まれた手は
逆に濃い絶望を想起させ
消えないランプは手術がまだ終わらないことを知らせている
「良い ....
ぎんいろの折り紙で
鶴を折る
ぎんいろ
それは
わたし自身を惑わす窓辺の色合い
ぎんいろの街で
あなたとの足跡を探してしまう
例え人違いだったとしても
あなたに良く似た後姿に
....
1 2