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疲れ果てて
色褪せた
繁華街の朝を通り抜け
ガラガラの電車の
ドアのすぐ側の席に座り
手すりに頭を預けたまま
揺られる
満員電車とすれ違うたび
何かが足りないような
そ ....
ひこうき雲が落ちた先の地平線の向こうではきっと
沈みかけの太陽に墜落した機体が静かに焼かれていて
壁の端のほうに逆さまに貼付けにされたヒグラシは
僕らを横目にそんな空を見下げながら一日を嘆いてい ....
夏空の青色は完璧な色をしているが
綿菓子になり損なったみたいな
散らばりかけた残念な雲が広がって
夏の始まりからその陰に隠れていた
終わりがそっと顔を覗かせている
木蔭には脱皮に失敗 ....
最後に見た夜空の星は
100光年の彼方からの100年前の光だ
それを見ながら僕は
緑色に濁った冷たい泥沼に沈んでいく
永遠と瞬間の狭間で息をして
一瞬の間に100年分 ....