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わたしがどれほど 傷ついていても
私の片方の目がつぶれ
全身に 治療のしようのない潰瘍が広がりつづけていても
この汚れた空に向けて
窓から この美しい蝶を放つ
この世界が どれほど汚れ
....
闇のプールに浸る
時が自分のためだけに流れる
目や鼻から押し寄せる 濃密な闇
浮遊するのは 思いがけなくも ちっぽけな世界
根もない つながる先もない
もともとそうであった ....
地吹雪が去った夜
夜空に張った薄氷の中に
満月が封じられている
月の光は
擦りガラスを透した霊安室の灯りのように
歪められ 動かない
風がどこかで身を潜めている雪原で
針 ....