意外と骨ばった手
小さなからだ
軽快な声
やわらかな茶色の短髪
猫のような瞳
残酷な素直さ
「今も、淋しいのか?」
右上がりの平仮名
ノートの隅 ....
1*
あなたとつきあっている
もっぱらの噂よ
そんな事実ないのにね
でも 知らないでしょう
そんな現実を求めている
私の姿を
2*
....
私はただの人形。
字も書けない
字も読めない
はずだったのに…………
私はある文字を読めるようになった。
その言葉 ....
西へ向けて 私は海を渡った
揺れる気持ちを波のせいにして 逃げていた
生まれつきの どうしようもないこと
恨んだところで変わることもないし
なら 愛そうと 愛そうと思って
そ ....
私の足元を見てください。
貴方がくれた、ガラスの靴です。
綺麗ですか?どうですか?
あのとき貴方は、私にひとときの魔法を、かけてくれました。
そのおかげで
私は今の主人と ....
前に進むんは、別に怖くないんや。
でもな、不安なんや。
後ろに進むんは、楽なんや。
でもな、後悔しそうで、怖いんや。
弱虫やねん。
そんな時、あんたに ....
ゆっくり、ゆっくり、眠りに就きそうな気分で。
想う気持ちは、本物だろうか。
眼鏡を外して、目を閉じて。
夢の中で、出会ったのかもしれない。
僕の手の届かないとこに、君は居て。
....
いつか忘れる日が来るのだろうか
あの夏の空を
苦しいのに意味はなく
それでもただ続けた夏
なのに今は
二度と戻っては来ないと決めた
あの空を忘れる日は来るのだろうか
自分で決 ....
楽しいときほど
思い出してしまうのは
あなたと過ごした夏が、きっと
あまりにも輝きすぎていたから
あいたい、と
そんなき持ちに自分の笑い声で気がついた
だって二年前、あ ....
玄関のチャイムが鳴ったので
仕方なく立ち上がろうとしたら
背中の上に
重たい鳥が
止まっていた
「どいてくれますか?」
黄色の羽根を
ぱたり、と閉じて
ずん、と居座る
「私は止ま ....
?.
七百七十六番目の天使が
翼をなくした
俺は 黙っていた
言葉は全て 汚れているから
俺は 黙っていた
あと十秒
?.
六百六十五番目の悪魔 ....
汚れた雨が蹂躙する街角で
傷をかばいあうために手を繋ぐ
傘を持たない日だけ、どうしようもなく
君の手があたたかくて
切れた指先が痛みを増した
僕の手は
どんな温度で君に ....
真夜中の三時
夜のベンチ
残された時間は
もう少なくて
そっと君の手を握って
恐ろしさ押し殺してた
『怖くないよ』
そう呟く君の目は
街灯の光と
星空を移してて
あたしに ....
きみの魚にふれたくて
えら呼吸を切望したら
肺が痛んだ
朝への開口を防ぐように
その
呼吸のひとつ
くちびるを
置いていく
きみの鳥をとびたくて
背中にそらを作ったら
煙に ....
ある
ありふれた
想い
という
呼び名の比喩が
争え
という
プログラムの元
生まれて初めての出航をし、
次の刹那
辿り着いた先が
温かい
実は
腹の上
だったと
結局
....
【睫毛の先】
もう
恋なんぞしない
と思って泣き続けたら
はらはらと
睫毛が残らず抜けてしまった
恋は
睫毛の先に止まるという
以来恋をしたことは無い
【 ....
人の細胞って一週間もすれば
すべて新しく変わるっていうけど 本当のことかなあ?
僕と言えば 何度も同じ失敗を繰り返して
DNAにそれさえもプリントされてるようで
新しく変わる意味がないよう ....
最期の最期で
酷いことをする私を
憎んで下さい
私は明朝に死にます
信じられないことかもしれませんが
ちょうど三年前
死神が枕元でそう言ったのです
死 ....