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いまいましい季節が過ぎ去って
春の匂いを運んで
ちいさな風が
独り言を
ちっちゃな声で
ほんにゃら ほおい
赤いランドセルに
まだおんぶされているような
ふきのとうの葉で
傘 ....
一行が零れてきそうな
静けさに
眠りなさい と
夜は耳元でささやく
白い羽を揺らす誘惑に
応えようとする肉体
沼地の底に落とされるかもしれない
そんな不安は
片顔隠した月が
煙草 ....
玄関の向こう側で
人の声がする
それは私の知らない人の声
玄関の向こう側で
行き来する自動車の声がする
それは忙しいと街が嘆いている声
玄関の向こう側で
ジェット戦闘機の声がする ....
源流に程遠くなく
清らかな姿を
留めながら
静かに流れゆく
孤独な細い川
貞節な乙女を
思い起こさせる
喧騒に揉まれる前の
ひとつの
純真
フルートの音色が
時折舞い ....