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しめった風が頬をなでるのをやめ、
埃のような雲霧が二人の呼吸を失わせていく
白くかすんだ記憶の中で
街灯だけは飴玉のように赤く潤んでいたが
私はそこにいるはずなのか
そうでな ....
埃のように浮かんでいる
幾多ものかなしさを
君の代わりに受け取ります
郵便受けにはそんな毎日以外は
何も配達されない代わりに
仰ぎ見た夜空には
少なくとも名前を呼べる者達が
いくつか ....
前髪が濡れていて、うまく夜風に
流れてくれないのを感じながら
腕を軽く上げた先の
線香花火に、視線を戻した
断末魔の産声が
チリチリと聞こえていたはず
かつての夏の夜
赤い輪郭を ....
1.
すき
きらい
どちらでもない
ひとひらの
花びらを海辺にすてに行く
指先が君を呼びかけていて、長袖を捲ることが
できない
もう知ってるんだ
この先で
海辺の声 ....
あまりよく、覚えていない
ふらふらと適当に帰りついた夜
白く重たいドアの先で
お父さんが
ガチガチに冷凍されていて
あれ、しっかり保存されていたんだ
そうドアの前の過去に
気が付つい ....