銀色になってゆく
宵の入り
私たち
あのベンチに
座って
帰りたくなくて
手をつないで
いたけど
ふと
通りがかった
あのベンチ
あの頃の
私たちと
きっと
同じ気持ち ....
反響する月あかり
空は明るい菫色です
白い雲が
流れます
今夜
地上で起きている
出来事が
みな懐かしい
白い廃墟の町も
風の荒野も
現実にあった夢も
何一つ欠けることの無い ....
単調な電子音。
おまえは誰かと哲学的な質問。
管制塔から?
数字とアルファベットからなる16桁の識別番号が私を示す記号。
であったはず。
である。
HALでないのは確かだ。
春だ ....
パラダイスが弱っているよ
ああ、早くしないと
早くキスしないとみんなダメになってしまう
夕焼け雲の形をした船は沈み
トカゲたちの種の命脈は絶えちゃうんだ
僕はぐったりと射精し ....
君が積木など買ってくるものだから
僕らは積木遊びをするしかなかった
家をつくって
壊し
城をつくって
壊し
他につくるものなど知らない僕らは
やがて一つ一つを並べ
街をつくり始 ....
砂漠へ行きます
では
私の写真ではなく
水を持っていってください水を
これからは いえ昔から
これからも
私たちは ひとりです
むこうは暑いそうなので
手に汗をかいて
指輪を ....
寄りかかれる温かいものが現れると
みんな幸せになるらしいのに
不安が増殖していく
欲しい言葉がもらえると
みんな嬉しくてドキドキするらしいのに
寂しくて堪らなくなる
....
低い山である。
釣客でにぎわう人造池と、
桜の並木が名物だが、
冬の夜明けには誰もいない。
狸しか通らないような、
細くて険しいけものみちが、
雑木のあいだを縫っている、 ....
わたしはまだおわらない
きみもまだおわらない
おわるのはだれだ
昨日や今日や今年のよるか
今日がおわる
明日がおわる
今年がおわる
ふりかえらない
毛糸がおわる
てぶくろがで ....
君のフェラチオは駄目だ
駄目ではないが、駄目だ
思ったとおり
君がしそうな顔で
そのままで
君ではない、感じがしない
バスのことを考えている
とりあえずは、だ
その中で僕は傘の ....
馬にのっていると
とってもあたたかい
馬にのっていると
馬の鼓動がつたわってきて
わたくしのからだまで波うって
涙が
なみだが
あふれそうになるの
たてがみにふれる手もふるえ
耳にふ ....
「虹が出てるよ」
と 人が言う
私は毎日
傷つけてしまったことの上に
虹を置く
後悔の念で
全て色は暗めだ
赤は ざくろ色
黄は 落葉色
青は 制服色
緑は たんぽ ....
ノートにうそをいっぱいかいた 箇条書きで 適当に、
殴り書きで ちょっとだけ 詩人を意識しつつ おままごとみたいに
読み返したくない ただその詩を破りたくなるだけで
なんにもかわんな ....
漆のように黒い闇が無限にひろがる宇宙の
おぞましい永遠の闇また闇の中に白い服が
浮かび小さな一点の眼がみつめる青い星の
なんという美しさ神様あれが人類の隠れ家
それにしてもあれは何だろ ....
あんちゃん大学出の新人か
ゆくゆくは幹部やな
まあ研修期間は「ご安全に」やな
あ〜
かっこ悪う
そんなピチっとした作業服にするさかい
ちょっと踏ん張っただけでケツが破れてまうねん
ま ....
夕焼けの頃)
机の上、広口ビンの透明な壁面には
「真空」と書かれている
私はただ、じっとそのビンを見つめているだけだった
あなたはそんな私を若かったのだと笑うだろうか
あるいは、 ....
踏んだ
二度、踏んだ
違う
全然、違う
今、キリギリスの話は全然していない
緑あふれる瀟洒な街で
あるふたりが運命の出会いをはたした
あまりにも運命的だったので
街の小さなラジオ局がドラマにした程だった
みんながふたりを祝福し たくさんの花束が届けられた
赤い薔薇 ....
隣りでは君の咳が止まらずに
ウイルスが部屋中に降り積もって
負けじと僕も僕のウイルスを飛ばしながら
お互いのウイルスは僕らと同じように仲良くしてるのかなんて
そんなこと
ど ....