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放課後の学校は静かで
でもまだどこかにざわめきを隠していて
傾いてきた栗色の光が
少女たちの瞳を
大人びてみせる
窓は少しだけあけておかなければならなくて
そこから
教室じゅうに清新な風 ....
言い訳の言い訳なんて要らないんだ
?
せめて言い訳の代わりにため息吐いてるんだ
?
ゴジラが放射線を吐くみたいに
?
俺はため息を吐いてるんだ
?
右目の代わりなんて左目があれば充分な ....
盲目の地平に金属の悲鳴を響かせ
悲しみの影に歩みを合わせ
荒い呼吸を繰り返す
やがて風の音が消え
その夜空に星が瞬くことはない
*
彼は夜の影
螺旋階段を登っていく
頂上の鉄柵 ....
こんなときだから
あなたのこと
思い出してみる
洗いざらしのティーシャツ
良く似合ってた
防波堤にふたり
たたずみ
いつまでも夕陽を眺めてた
はにかみ屋さんで
口下手で
....
端と端を重ねる
皺の無い
平たい一面は
矢車菊の
透ける
セイロンブルー越しに
どんな景色も
チタンを含み込んで
深く
人魚の尾ひれを
千切り
旋廻する
気高さ ....
裸足になって詩を読もう
どこか不思議と
目に入ってくる言葉が
そのまま受け入れられる
気持ちがこもった
言葉なのだから
肩を張らずに
裸足のままで
そのまま読めばいい
純粋な ....
窓際に並べた氷がとけていくのを眺めていた
わたし以外に誰もいない
広い部屋の中で
ひざをかかえるように小さくなって
息を潜めて
日が落ちて暗くなっていく
とけた雫か
わたしを伝って流 ....
現在形で突っ走ったので
少し汗をかいています。
未来形で懐疑的なので
いささか今日が懐かしいです。
過去形で憤慨しているので
どうにも目的を見失います。
あまりに精巧に構築され ....
あなたの花言葉は「誠実」です
と、言われた人が困っている。
それも無理からぬことで、
彼はこれまで
人並みに嘘をついて生きてきたし、
時には、妻以外の女性と
ベッドを共にすることもあっ ....
生まれて
しまった後ならば、
二度と
生まれて
いけないだろうかと、
ひとりごとだけ
生んでみる
いくつになっても
守られるから、
さびしさは
無くならない
幼なじみ ....
硝子の靴の落ちる音。
振り返った君の瞳に
今は、悲しみが見えない
・・・安堵するにはまだ早いけれど。
朝日の落ちたリヴィング・ルームは
持ち主のいないティーカップを浮き ....
流行のウイルスは たちが悪いみたい
君のことだから 不用心なんだろう
満月だからといって 明るいからといって
女がひとり夜道を 歩いちゃ行けないよ
....
口をつぐみ
問い掛ける
エゴに塗られた詩の序曲
床に灰の心臓
自由を亡くした鳥の眼球
合成され天然を離れた生物の剥製
緑色した血液の奇妙な哭き声
この世の終わりを殺した爪と毒性臓器
....
わたしの影は
わたしの涙で
水色になりました
わたしがそっと足をつけると
ぴちゃっという音をたてます
わたしはくつをぬいで
服をぬいで
影のなかへ
沈んでいきます
....
天文学の本には
その距離が
記されている
地球上で
彼女に向かって
全速力で
走ってみても
その距離は
縮むこともなく
遠ざかることさえない
38万km
....
見たか?
あれを―
空にいる、ああ、大きな大きなあれを。
見えないなんて云わせないぜ。
視力のいいやつ悪いやつ、関係ない。
見えるだろ?
鉄の塊ではない、
謂わば、世界を背負った ....
不思議な国
可憐な世界
目覚めてもいつもと変わらない
どうして私達ばっかり
聞いた話しだと どうやら眠ってる時は景色が違うらしい
綺麗だと聞くけど
カラフルな色に包まれたあなた達の ....
何度眠ろうとして
何度寝返りを打ったっけ
昨日はいつもより肩が重く
左目の少し上がとても痛かった
安物のホットドックが
不自然なほど美味かったけれど
眠たくて眠りたくて
夢なんか ....
遠くから 私を呼ぶ声がする
振り返ると そこには 大切な人たちがいた
手をふって 微笑んでいた
あのときのままで
どうして 気がつかなかったんだろう
あんなに 心寄せていたのに
いつだ ....
ある夜から、ガラス球が衝突によって砕ける事さえ悦んだ。
哭いても仕様がないのに、ひとつにはなれないのに。
まるで知らない、仄明るい迷路を彷徨う内に。
はしり火、彗星の尾ひれ、その燐光を追うよ ....
地下の心地はいいものだ。
ひんやり、固い、やすらぎの街。
がたんごとん、きい、てくてくの音。
―実に、よい。
無心とはまさに、{ルビ地下=ここ}にあるんだ。
欲望なんて、{ルビ地下= ....
語り続けよう
夜はまた明けるのだから
それでも終わらない、夢は
目を閉じるな、見えているはずだろう?
夜明け、空へ
陽は、投げられて
繰り返されて、ずっと
みんな、朝を待って
....
日曜の午後
鎌倉の喫茶店で
「 詩人の肖像 」
という本を読んでいた
店内の天井から
ぴったりと静止した
サーカスのブランコのように
ぶら下がる
....
新緑に冴える風景の中に飛び込んで
心に積もった埃をぬぐうように
青い空のした
駆け出した
扉を開けようともがいた寒き日の記憶
心まで凍えそうになりながらも
残り火を絶やさ ....
君は何も言わなかった
初めて会った時も
ただただ僕を見て
ただただ体が冷えていた
泣き顔とも笑顔とも言えない顔をして
こっちを見て
白い息を吐いていた
朝は朝もやの寝巻きを羽 ....
祖父は戦争で韓国から強制徴用され
月も眠る夜に専制君主の目を盗み
田舎の山奥の炭鉱を逃げ出した
今は亡き祖父の苦労は想像することも出来ないが
ある頃に祖国の弟にトラクターを贈ったらしい
....
非常階段の隅っこに小さな灰皿
割とヘビィな銘柄の吸い殻
押し付けられて そのまま
残された抜け殻か それは
空気を震わせながらする呼吸は
僕の部屋ではやけに神聖な行為で
深く閉じた ....
幸福な女優は、金持ちの男を好んだ。
或る日のことである。
彼女は都内の高級ホテルで、大富豪のF氏と寝ようと試みた。
F氏は、83才。無論、機能しなかった。
―夜が明けた。
それ以降、彼女 ....
家族に絶望して
ああようやく私もここから
逃げ出せると
そう思いました
血のつながりを
絵の具の白で塗りつぶして
ああ白色は
このためにあったのだと
私は思いました ....
あなたが わたしを
過去のこととして
話すときがいつか
くるのかな。
だった・・・だった・・・だったって。
時間は無限に循環しているといいます。
じゃあ、この風はどこからきたの?
....
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