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噴水のある公園を見渡せる高台に
子供が三人
カップルが二組
上半身裸のおじいちゃんが一人
うらぶれた僕と私一人づつ
ハシャグ奴らが
シットリしてる奴らの邪魔をし
ハツラツ翁が笑い
....
僕らしく生きてきたんだ
結果として周りに誰も何もなくなったって
これが僕が決めて選んで遣った事
蒼穹はいつも深く深く
ため息を吸い上げてくれそうな気がして
疲れた時はよく見上げたものさ
....
僕はとほうにくれている
手術のまえの十分間
いっぷん
手を洗う
にふん
足を洗う
....
声にならなかった
あらん限りの力を込めたはずなのに
例えばそれは
孤島に取り残されたおとこがひとり
遥か水平線に見え隠れする
船影を
蜃気楼だとはなから諦めているかのように
もし ....
捨て猫に飼われている
私は 捨て猫に飼われている
飼われているから『捨て人』ではない
飼われ人なので
そのしるしに首輪をつけている
鈴もついてるので歩くたびに
リンリンと鳴 ....
/透明すぎる水の色/
/水の余韻が鳴り響く/
/月の仄かを呼吸する/
/その庭園を微かに揺らすのは/
/水だ/
月を宿す王立庭園の門扉に凭れている年老いた兵士は濃淡の物性を放ち、 ....
夏の名残を雨が洗うと
淡い鱗を光らせたさかなが
空を流れ
ひと雨ごとに秋を呟く
九月は
今日も透明を守って
焦燥のようだった熱や
乾いた葉脈を
ゆっくりと
冷ましながら潤ませ ....
寝台車の匂いが
掌にする
腕はまだ
距離を測っている
残されたものを集めると
骨の近く
きしきしして
初めて靴を買ってもらったときの
恥ずかしい喜びしか、もう
いらない
....
比べたくなるものがある
幸せの度合いとか
それぞれの人生のありようとか
ひとと比べることで見いだせるものとは
柱に刻まれた幾筋かの古傷は
生を授かった証であり
輝ける未来への歓声で ....
それ以外に術を知らなくて
こうしてる
ほんとは教えてほしい
きっと 簡単なことなんだろうけど
意外と骨ばった手
小さなからだ
軽快な声
やわらかな茶色の短髪
猫のような瞳
残酷な素直さ
「今も、淋しいのか?」
右上がりの平仮名
ノートの隅 ....
俺は日本で働いているんだな
ひとを傷つけたりしながらな
出国まえの寂寥とは
いつもこんなものだ
迷惑かけない程度に生きよう
感性的な落ち込みはやめよう
....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする
すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような
ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
ぎんいろの折り紙で
鶴を折る
ぎんいろ
それは
わたし自身を惑わす窓辺の色合い
ぎんいろの街で
あなたとの足跡を探してしまう
例え人違いだったとしても
あなたに良く似た後姿に
....
道路を歩いていたらガムを踏んづけました
嫌だなあと思って靴を上げたらビヨーンと良く伸びました
そしたらプーンとパイナップルの香りが鼻にきたので
誰かがパイナップル味のガムを捨てたんだなあと思いま ....
娘の胸が次第にふくらんでいくのを
心ひそかに嬉しく思っていた。
と、母が告白する
だけど、ついには大きくならなくて
ちょっとがっかり。
などと、母め
シャツのボタンを上から順に
はず ....
初潮をまだ迎えていない
女に生まれ変わる前のどこまでも真っ白な女の子
青空の下で
柔らかで小さな手をゆっくりと包む
腰を落として
彼女と同じ目線で微笑みあう
白い肌が日の光で赤く染まる
....
水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を消している
....
一期一会
だなんて、ことばでは語りきれない
こんなデジタルの時代だからこそ
0と1の狭間にあるものを
あなたに伝えたい
それは
感動に震える心臓の鼓動であり
汗ばんでしまった掌の ....
夢よりも 何よりも お年頃 素敵なこと
空よりも 海よりも パジャマ色 眩しい人
新しい光が 心に突き刺さる
そんな気持ちが好きだよ
ひさしぶりの電話の 声に気づか ....
風に体をあずけて
夜の海が見える場所で
れもんを浮かべた水を口にする
海から運ばれる潮風は体を少しだけ寂しくさせる
風に乗った冷たいしずくとれもんの香り
暗闇のむこうに何度も手招きをして
....
散歩していたら
犬がへいのへーい
少年がへいのへーい
HOTELの赤ランプ
へいのへーい
じいちゃんがへいのへーい
タマがへいのへーい
でも怒らない
ちゃんと処理をしてあげる
....
一生青春、なんて言わずに
人生には
朱夏
白秋
玄冬
とあるのだから
たまには
真っ赤に染まる夏も
白くおおらかな秋も
奥深い黒の冬も
あっても良いな
浸りゆく
この黄昏に
街は慈愛の潮 満ちて
海から遠く 離れて
唸る 街に
古代の虫 発光し
アスファルトのタールは
原油のにかわ 舗装する
道をまっすぐに!
密 ....
南風に乗って、夏が
駆け込んできた
いつだったか あなたは
疑いなく寄せるそれを
レモンの光、と呼んで
指先で掬い上げて口付けをした
透明な時軸につかまって、僕は
ひとま ....
地獄の沙汰どころか
こうやって生きているときから
と
あの人は言った
ひとと獣の違い
それは
困ったときに
頼れるものがあるかないか
思いとか信じるとかのことなの
そう尋 ....
プラットフォームのうえで
学生が夕焼けにさよならしてる
桜色の空の真ん中では
ぐるぐるトンビが廻ってる
ぼくは君がくれた
読みかけの詩集を閉じて
琵琶湖と比 ....
君に対する僕の心は
ほとんど愛で
蝋燭たてとか
傘たてとか
ドアノブとか
靴べらとか
そういうものに
僕はなりたい
....