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春障子わたしをごっそり抜け落ちて
行き着く先は
標本学
無言の月ごと
ホルマリン漬け
かじかむ事すら
忘れた手
恋の形見よ
貴方をかざる
引汐を 追って沖まで 春の海
{ルビ石鹸=しゃぼん}玉 私の知らない 窓のそと
沖からの風は
ずっと前に止んで
マリンブルーのジュースの
べたつきだけ残った
たった一口
飲ませて貰った
激烈な甘さも
くちびるに染みいる
かすかなぬるさも
飲み込んでし ....
銀色の背を
ひるがえし
切り身の魚は
空を飛ぶ
お鍋は底抜け
わたしの手
あなたの海には
なれません
赤い中身を
ちりぢりに
切り身の魚は
空を飛ぶ
....