すべてのおすすめ
噴水の仕組みがわからないから
それはもうじっと見ているしかできなかった
一定の水が噴水の中にはあって
それがどこかで汲み上げられて
吹き上げられている
そして落ちて回る
それくらいはわかる ....
日ごろ 砂丘の獄舎では うっとりと
留まりかけた 朴訥な優しさも
指先の 堪えない神経が どうして
絶え間なく 頭を下げさせる
君の おじぎ草 のように
夜 ティンパニー 膠着した過去は
....
あれは何年前だっただろうか?
思いがけないケータイ購入から
アナタも私の領域に参入することになった
すでにモバイルにはとっくに慣れてる私には
別に 何のこともないのだけれど
《メールうつ ....
胸の中の灰色の重たるい空に
気怠く浮かぶとりどりの飴玉のような
飛行船の数を数える
数えたそばから何度でも忘れるために
幸福な女優は、金持ちの男を好んだ。
或る日のことである。
彼女は都内の高級ホテルで、大富豪のF氏と寝ようと試みた。
F氏は、83才。無論、機能しなかった。
―夜が明けた。
それ以降、彼女 ....
ガードマンはハンコを押す
祝日だから
ビジネス街はひっそりとしている
八十八階の窓から山が見える
あの向こうで母は
病室の四角い空を見てるのだろう
雲という名前を失った雲は
やはり雲 ....
山鳥は、
語りえない
ゴム、しゃぼん
せかいは いとも
かんたんに
喧嘩する
きみを ぼくは零す
しゃぼんのせかい しゃ
ぼんの せかいは 簡単に
....
真ん中に
するり、と
入り込んで
溶けきった後
成長を、開始する
君のその
心に根付いて
愛という
餌を貰って
大きく、なっていく
....
振り回される老人
死の角度
思想の発射速度
穿たれたもののきらめきはどこへ行った
世界中のタバコはいっせいに情欲の疲れ
ボクサーがみる千分の一秒にニクイアンチクショウ
....
「気球」
気球に乗って
ぼくは旅に出る
今 ふくらましてるとこ
きみは
地上に立って
それを見てる
ぼくはたぶん
他の人らとそりが合わなくて
もうずいぶんつか ....
空の青にぽとり
鮮血でした
ゆっくりと赤だけの虹をわたって
足の指の少しのつめたさで
春は訪れ
きみとの
どうしようもない部分をぽくぽくと
桜を食べて埋めた
おなかからの魔法、 ....
沖からの風は
ずっと前に止んで
マリンブルーのジュースの
べたつきだけ残った
たった一口
飲ませて貰った
激烈な甘さも
くちびるに染みいる
かすかなぬるさも
飲み込んでし ....
銀色の背を
ひるがえし
切り身の魚は
空を飛ぶ
お鍋は底抜け
わたしの手
あなたの海には
なれません
赤い中身を
ちりぢりに
切り身の魚は
空を飛ぶ
....
夜の傾斜をくだってゆく
くだるたびに傾きがちがうような
いつもおなじような気がする
夜だから傾斜は暗い
ところどころに湿った火がともっている
そのそばにその火を嘗める獣が
いたり
い ....
1 2