A点からB点へ
車両を移動する
B点にて
柔らかさを失いかけ
固さを含みかけた風が
胸元を刺す
傷口は身震いする
B点からB'点へ
車両を移動する
B'点にて
葉緑素を ....
すまーとふおん
たれながされるぐれつちえんぱーらと
きみはいない
しんじえこうのよふけ
そうぞうするよ
きみがことばにする
あやいやうやえやお
そしていけないこと
ああぼくよりえれふあ ....
ママの手は
てんごくのにおいがすると
五つの子が
うっとりとして
わたしの手を離さない
てんごくも
じごくも
絵本のなかに
出てきたね
てんごくに
匂いがあるなんて
知ら ....
どうして気がつかなかったんだろう
わたしたちはおなじものじゃなかったのに
溶けるほどちかくにいたのに
なんで気がつかなかったんだろう
それが恋なら
わたしがあなたじゃないことくらい
....
110620
どんなに素晴らしい内容でも、端から理解できないことをしゃべり続けられては堪りません。また、時間がないときに丁寧に詳しく話されても困 ....
ぼくの胸のなかには
夕ぐれのかたまりが埋まっている
まだ少し青い
おさないトマトのような
ゆううつを潰していく
苦笑いに似た音をたてて
きみ ....
そのころ
灰色の頭部をした
理知的な蛸のやうなものが地上を統べ
うつくしい名画さながらに平原を
ナナめに逃げ惑うひとびとを捕らえては
おちこちのしかかっている
(すぐれて理性的な蛸の あ ....
彼の部屋にあるティシューは やわらかい
アレルギー性鼻炎
花粉症
年中 くしゅん くしゅんしては
豪快に鼻を噛む 彼
大王製紙エリエールのローションティシュー
他の類似商品では駄目だ
....
ぼくが死んでから分かったことだが家族はばらばらだった
じぶんの死よりそっちの方が悲しかったぐらいだ
ぼくはママやおにいちゃんやパパといつもいま一緒だ
時空をこえるというのはこういうことを言うんだ ....
気合もろとも
弾ける
空に
バッタとは
よく名付けてくれたものだ
宙に跳ぶ瞬間を
実に巧く音に写しているではないか
気合もろとも
爆ぜる
空に
この細い脚だから
気合 ....
どこかへ詩を読みに行ってつまらなかった。なんて当たり前すぎることで、そういうのをいちいちクサすのはもうやめにしよう。っと20歳のときぐらいにおもった。残念な詩に遭遇するなんてことは、もう、夏があついぐ ....
きのう手紙がとどきました。ふるさとのこころの箪笥から。
【前略 私は あなたの本当の母です。あなたは 親に「橋の下でひろってきた」と言われると喜んで、高貴な産まれを夢想するような娘でしたね。卵が先 ....
夜感情のボタンを長押しして電源を切るおやすみなさい。
しろいろが通るくろいろの上をぺたぺたと痕を付けてまっしろに。
かみさまを消しゴムで消したらそれ ....
クレパスのさくら色だけ短くて買いたしにいく春の自転車
やわらかな光をたばね菜をゆらす瞳に春を住まわせた人
{引用=――にんげんは
抽象する動物なんだな
(北村太郎「悪の花 2」) }
鳥の目醒めがあって
それから少し遅れて
人間の目醒めがあって
それからだいぶ遅れて
私の目醒 ....
突き抜けた青天から目をそらし
振り返ってしまうことがためらわれ
気付かなかったことにした
水滴ひとつ浮かばない箱を抱えて
所在を見つけようともしなかった
抜けた羽毛を一枚入れて
ふたを ....
みみずくは
夜には水をやったりして
四月早咲きの月見草たちをかわいがっていました。
みずくみみみずく。
優しさの前に立ったとき
どうしようもなく
人見知りをしてしまう
なかなか差し出せない手を
ぎゅっと握って
その手のひらは
汗だくになってしまう
嬉しさの前に立ったとき
どうしよ ....
あたまの傷のことや
からだの傷のこと
目のなかのぐるぐるの暗がりのこと
そういうことを口に出すのは
醜くていけない
たたかうこと
負けを肯定すること
生き抜くこと
まぶしい、
と ....
秋鮭って捨てるところ無いんだよね
骨や皮まで美味しくいただけるし
そんなこと話してみたら
「人生だって同じだよ」
あなたは秋鮭のルイベを美味しそうに頬張った
だと良いけどね
な ....
さかなの星空はいつも
境界線でゆらめくのです
星空を落ち葉がよこぎり
岸辺のすすきも
月明かりに
にじみながら手を振って
失ってしまったときに
ひとはさかなになる
月だってゆら ....
雨滝に続く道は
聖堂のように光がそそいでいます
昼下がり、ステンドグラスの森が
橋に季節の色を映して
敷き詰められた落葉の絨毯は
通り雨の跡のように
濡れていてるのです
長い階段を下りて ....
今月なのは間違い無いのだけど
確か二十日頃だったよね
金木犀の甘い香りは
あのひとの痩せた背中を映し出してくれるようで
ひとたび心離れてしまうと
あれほどに固く結ばれていた思いまで
....
階段をのぼる事を諦めたぼくは
目を瞑り壁にもたれ掛かることにした
壁はぼくを堅く柔らかく受け入れてくれた
まるで、泥の中に沈んでいくような密着と深い解放感がそこにはあった
体が壁にのめり込む
....
恋が恋とはわからずに
そう初恋と云う言葉
さえも知らなかった
少年の頃の焦がれる記憶は
小さな翼が
羽ばたいていく
軌跡のような
鳥たちの
とても切ない
ぬくもりみたいに
少女の小 ....
地上に近い山腹に棲む黒い鳥は
道しるべとなる糞を落とし
小動物に住処を教える
澄んだ源流まではあと3000マイル
骨は武骨で歯は鉈と化す
曇りがかった悪路を不自由そうに飛 ....
081007
オリノコ川に
月が出て
野猿の群れも
眠りについた
静かな雨が降る前は
猫の子一匹騒がない
幻想と否定するだけの
....
真新しいクレパスの
いっぽん、いっぽんに
なまえを書いてゆく
きみのなまえだ
先端恐怖症の妻は
体育着の胸に
名札を縫いつけてゆく
今日は調子がいいの、と言って
慈しみの雨が屋 ....
月の石を見つけたいならウサギに付いていけばいい。
もしも猫が見ているならそれは僕を観察している。
無いよりあれば良いもの。きっと沢山あるけれど、
あっても使ってないならば埃をかぶって虫が喰う。
....
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