すべてのおすすめ
肩書きは「青い新宿回遊魚」まだあのひとはいますかここに
膝を抱き「東京事変」聴いていた人恋しくてベゴニアを買う
束縛を嫌いみずから糸切れば動けなくな ....
北山通の並木かなしむ夕暮れの色はほんのり青さをもって
少年が息をひそめていたわけは蛍でしょうか哲学のみち
宇治川を背に立つ君の少しだけ歴史を知っていることが ....
横断歩道の黒白正しく踏み分けていくように押す部屋番号「206」
無機質なふりして並ぶ玄関のドアは夜まで熱が抜けない
ココナツの洒落た香りが悔しくて窓に3ミリ隙間を作る
....
私しか「アトリエ」と呼ばない場所で
あのひとは輪郭のまま西を向いている
むせ返るような夕陽の匂いのなか
パレットで乾いた水彩は、それきり
藍が好きだったと思う
雨が好きだった ....
アスファルトの照り返しは穏やかではない
24号線沿いのひび割れた歩道を蹴って
いつまでも変わらない信号を見上げる
太陽がもうひとつ増えた気がした
雨と晴れの境目を見つけた少年時代の君を
....
夕月は君が
先に見つけた
でも
明日雪が降ることは
きっと教えてあげない
*
君のいちばんのねがいを
たぶん私は知っている
でも
君のいちばんの ....
アンダンテ追いかけて追いかけていても君が見えない陽射しの中で
抱きしめる速度ですれ違う風はセルリアン、君の瞳に映る
炭酸の雨///下弦の月をマドラーで浸しても味なんてないまま
....
廃校の探検隊だぼくたちは廊下がミシンと鳴るアンダンテ
イチゴにも砂糖をかけるアキちゃんが横目で見ているスターバックス
算数が誰より得意なユウくんは今日も釦を掛け違えている
....
「キレイだよ、誰よりも。」
鞍馬口駅のトイレでそっとつぶやく。髪を直して、グロスを塗って。そうして見つめる鏡越しの自分に向かって言っているものだから、他人が聞いたら「アホちゃ ....
折り返す列車は濡れて雨粒の数の約束待つ河原町
烏丸のホームで制服のリボンを揺らしてあの子は白線を踏む
閉じかけた夏の絵日記直線では描けなかった桂の警鐘
高 ....
■ミッドナイト・シャワー■
ミッドナイト
月のナイフで切る指に怖いほど、まだ滴るカシス
甘い、赤
舐めて
瞳に翻る
純情、孤独、叫ぶキラメキ ....
「リトマス紙がなにでどうなるか」のように忘れてしまいたい夏がある
まだ明日を信じていたからサヨナラを 告げた渚にゆらぐ太陽
ケンケンで駆けた砂浜しゃらと鳴る 乾いた粒子、ただ熱 ....
身体の中で潮騒を飼っている
辞書はそれを焦燥や憂鬱や歓喜などというが
潮騒はそんなにもシュハリ、と
姿を変えるものだろうか。
生まれて初めての始発に乗った。
どうしてだろうかとは考え ....
身動きを許してください水底は26時のネオンさえ青
息継ぎを忘れた彼女が電池式だったと知った火曜のメトロ
遺失物届けの欄に書くべきはリセットキーか押す指なのか
「き ....
祖母は絵に描いたような大阪人でした。商売が大好きで、勝気で、たまに口が悪くて、酒屋でしたからものすごく酒には強くて、花は大ぶりの派手なものが好きで、ついでにヒョウ柄も大好きで・・・そんな人でした ....
「第一話・名もない色」と書いてみた。二年と五日前の扉絵
漁火というたましいに導かれ浴衣のうさぎ逃がすわだつみ
王冠を貝に譲ったソーダ水だまりこんでた午後がいとしい
消 ....
左手を絡める鎖で身を飾る誇りを嘲え白い太陽
乱気流放つ引き金緩いまま「後追い禁止」の標識を刺す
置き去りの景色を胸に滲ませたセンターラインはためらいの色
逆風 ....
著者より
相手の立場に立ってものごとを考える。ということは、よりよい人間関係を形成する上で非常に大切なことである。しかし、こういうことは日ごろから意識しておかないとできないものであって、時とし ....
風立ちぬ寒き手紙は寒椿花ぞ散るちる紅(くれなゐ)は君
せせらぎの凍てつく青に紅を差し夕闇となる寒椿かな
寒椿君のかわりに影連れて影が消えれば指先は夜明け
....
A・・・アンパンマンに・・・
アンパンマンのアニメに「肉マン」というキャラがいたら面白いのに・・・とは随分前から思っていた。ここで勝手にどんなキャラか解説したいと思う。もちろん顔は肉まんであり、 ....
くしゃみをひとつする、と
私たちは地球儀から滑落して空に溺れる
あの日グラウンドから送った影は
手をつないだまま鉄塔に引っかかっていて
捨てられたビニールのレインコートのようだった
バス ....
風になり、花になり
ずっとそばで―――
今日は街に雪が積もって
めったにないことだとニュースでも騒いでいました
わたしはそのことが少しばかり怖くて
あなたの手を握ったのです
やわらかく ....
夢路誘うは十六夜に
声なく花の散る姿
また立ち返る如月の
思いは誰に告げるべき
黒髪{ルビ梳=けず}るいもうとの
面影やどる花びらは
雪の衣も厭わずに
音もた ....
白空のヒビは街路樹の冷たい手 聞け言の葉の声をココロで
外套の襟をかすめる単音のグロリア今宵は木枯らしのイヴ
「ブリザード」
梢吠え闇の怒りと共鳴し生を償う旅路震わす
零℃切るなみだ氷雨が張り詰めた世界の銀を裂くデリュージョン
ブリザード膝つき見上げる万華鏡身を刺す寒もい ....
舌先が絡める熱い銃口の鉄の苦みは血の味に似て
約束の指でいざなうライフリング自我突き破る濡れた弾丸
背徳を縛る鎖の錠を撃つ。ふたつの魂(たま)は逝く果てもなく
霏々と降る、雨。黝いparanoia不協波紋よ咲かせ憂鬱
信号の点滅さえも響いてる月の爪痕冴え渡る夜
加速度をゆがんだ都会(まち)で確かめて スカイラインへ突き抜け ....
緋の蝶を君のみぞ知る胸に彫る無血のいたみ翅広げ咲く
手のなかの諸刃はいつしか時じくの命となりて食らうかなしみ
疼くはばたき連れて生きるというならばわれをともない生きてくれぬか
桔梗のむらさきを聴く、と
夜の二歩手前が
どこまでもやわらかな鎖で
約束と小指を繋ぐ
硝子の鉢に浮かんで
むらさきは、鳴る
秋ですね と
ただそれだけを告げるために
桔 ....
与え合うものは痛みと欲の痕。左手どうし繋がれていた
口付けて錆びつくほどに探るのは求め合うたび変わる鍵穴
枷を引く。ひとつのふりをしたほうが
軽くなるなら脱げるうすぎ ....
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