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ごめんな
と言う

ただ
ひたすら

ごめんな
と言う

あやまる
理由なんて
はじめから
なかったのに
 
 
 
 
あんたなんかね
あの時あたしを
見捨てればよかったんだよ

三十半ばを過ぎていた
あの時僕は妻と結婚した
僕の意思で子供をつくったために

安定した職に就いている
幼なじ ....
 
 
失ったところに立っている
父さんと僕が
二人で写真をを撮った後
ふと思い出したように
西の空を見ている
あの日と同じ
今日という一日も
その一部分に違いなかった
 
  ....
 
 
あの夏の日の
電話ボックスの中
受話器を持ちながら
あと一桁ダイヤルを
回せば届く
思いがあった

あの夏の日は
静止したまま
僕は僕の海に溺れ
窒息している

何 ....
 
 
暗闇で
手を繋いで歩いていた
手首だけになって
手首からその先は
僕のようで君ではない
魂になったように

君の息遣いが聞こえる
楽しそうに
何か話してる
僕も何か答え ....
 
 
ふとわたしはある予感がして
お風呂場へ走ってゆく
扉を開ければ片隅にいる
たわしは新しいたわしに
買いかえられていた

お風呂掃除係のわたしに
ぼろぼろになるまで付き合ってく ....
 
幸せなときに限って
幸せを知らない
河原のベンチに座りながら
そんな時が誰にでもあるように
思うことがあった

ベンチに座ると
夏の虫が僕のまわりで
いっせいに鳴きはじめるものだ ....
 
故郷での暮らしは
けっして貧しいものではなかった

手に入るものは手に入り
手に入らないものは手に入らない
ただそれだけだった

小さな都会で暮らして
もう二十年になるけれど
 ....
 
恋文を書いたつもりでした
まったく何年ぶりなのでしょう
こんな気持ちは
なんども破り捨てようと思いましたが
結局そうすることもできずに
他の誰にもわからないように書きました
あなた以 ....
古代に誰かが語った
人間は考える葦である
を受けて
近代の誰かが語った
人間はもの思う葦である
を受けて
現代の誰もが語らなくなった
もの言わぬ葦も
時代を超えて
いずれも人間である
二人が出会ってから
いくつもの電車が通り過ぎた

始発の準備をするあなたが
終電の窓の向こう側に見える

わたしはあなたに
ありがとう
と言った
次の瞬間にはもう
始発に乗っている ....
ポケットの中に
言葉が生まれる速度よりも
あなたの思いが
離れていく速度のほうが
少しだけ速かった
ポケットは口を開けたまま
言葉を失っていた
日が沈む音がして
二人は無口になった

語り尽くされた
愛の抜け殻の中を
夏の匂いが吹き抜ける

あなたの心の声も
花火の音に掻き消されて
何も聞こえなかった
ボケットに
愛をつめこんで
電車は走る

窓の外には
形を変えた愛が
こんなにも多く

ざぶざぶと
波に洗われ
そして
さらわれてゆく

あなたが
待っている
駅までつづ ....
うっかり昼寝している間に
半開きの窓から
しちがつの祭りが逃げていった
あわてて町中を探すと
黒山の人だかりがあり
かきわけて中に入ると
側溝に落ちたしちがつの祭りが
救出されているとこ ....
生まれては消えてゆきます片恋は炭酸水の泡の数ほど

もくもくと瞼の裏に夏の雲夕立のあと虹ふたつ

遠雷におびえる硝子風鈴の母を呼んでるかぼそき声

はてしなく走る草原夏の日の思い出は今ポッ ....
テレビの中のひとが
環境問題について話していました
テレビの外のひとは
そんなものだろうとみていました
テレビの中と外の境目に
三つの色がありました
太陽と植物と空の色でした
ひとの色で ....
よのなかのもんだいについて
おとなたちがぎろんしている
わたしたちは
なにはなしてるの
と、きく
こどもには
かんけいないはなしだから
あっちいってて
と、おとなたちはいう
そのいっ ....
めんどくさがりやが
めんどくさいことをしている
めんどくさがりやほど
めんどくさいことをしたがる
めんどくさいことが
もうこれいじょう
めんどくさいことにならないように
あしたがもっと
 ....
この世にはない湖の辺で
あなたに会う
この世にはない花を摘み
あなたを飾る
この世にはない愛の言葉を
あなたにささやく
この世にはない幸せの鳥が
あなたを祝福する
そんな世界 ....
壊れたら直せばいいが口癖の
父からもらったラジカセは壊れてばかりだった
とくにアンテナはしょっちゅう折れた
そのたびに父は何も言わず修理してくれた
まるでそれが生きている理由であるかのように
 ....
バケツは横たわって喉を渇かしている
思いっきり蹴られて宙を二、三回転しても
着地のやり方はまちがってしまう
あれほど着地を練習したのに
いざ蹴られてみたら本番に弱いので
側面にへこみばかりが ....
プロポーズの日
私たちは海老フライバーガーを注文した
三分ほどお時間がかかりますが
そうお店の人が言って
後ろの方では段ボールの中から
冷凍の海老フライパティが取り出されていた
トレイの上 ....
朝ご飯をつくる母のまわりは
今日もお腹を空かせた子供たちで大にぎやか
朝ご飯だけが仕事じゃない母はついに
もう!なんでみんなここにいるの!
家族だからさ!
新聞を読んだままの眉間の父の声に
 ....
これは正しい
これは間違っている
曖昧はゆるされない
そんな二者択一を
していくうちにある日
あなたが間違っていると
指摘されてしまった瞬間
自分が決めた価値観で
自分が裁かれてしまっ ....
ドアが開いていますよ

声がしたので一応
部屋中のドアを見てみたのだが
すべて閉まっていたので私は困惑した

あの
ドアは閉まってますが
いいえ
ドアが開いていますよ

部屋を出 ....
天文学の本には
その距離が
記されている

地球上で
彼女に向かって
全速力で
走ってみても
その距離は
縮むこともなく
遠ざかることさえない

38万km
 ....
一人暮らしの アパートに
大きな箱が とどいたよ

野菜 果物 地場産品
お米 お茶っ葉 お手紙と
意味不明なる ふるさとの
町の指定ゴミ袋

でも なによりも うれしいは
 ....
つぼみですあなたの前では枯れるまで

曖昧は曖昧だからやさしいの

恋列車整備不良で停止せず

さいたま港そんな港は知りませぬ

残された飛行機雲を撃ち落とす

あなたといふ三文字 ....
桜散りすでに秋の風たちぬ

にせもののあなたと過ごした月見草

朝顔のつるに巻かれし夏の園

脱皮した蝉のぬけがら捨てられず

キセルしてまでも行きたい終着駅

靴底に見つけた春の ....
チェセロロさんの小川 葉さんおすすめリスト(36)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
理由- 小川 葉自由詩109-4-26
愛の言葉- 小川 葉自由詩609-4-26
古い写真- 小川 葉自由詩209-4-18
超躊躇- 小川 葉自由詩5*09-4-15
真夜中の散歩道- 小川 葉自由詩409-4-14
新しいたわし- 小川 葉自由詩509-3-29
玄関の虫- 小川 葉自由詩608-10-30
手のひら- 小川 葉自由詩708-10-29
解凍パニック- 小川 葉自由詩4*08-10-25
もの言わぬ葦- 小川 葉自由詩207-8-14
電車- 小川 葉自由詩307-8-7
ポケットに速度- 小川 葉自由詩6+07-8-5
花火- 小川 葉自由詩307-8-3
黄昏- 小川 葉自由詩607-7-28
しちがつの祭り- 小川 葉自由詩407-7-27
思い出- 小川 葉短歌707-7-27
- 小川 葉自由詩307-7-19
ぎろん- 小川 葉自由詩307-6-23
めんどくさがりや- 小川 葉自由詩607-6-20
無数のあなた- 小川 葉自由詩7*07-6-13
修理- 小川 葉自由詩1007-6-13
ラストシーン- 小川 葉自由詩407-6-7
海老フライバーガー- 小川 葉自由詩17*07-6-3
家族- 小川 葉自由詩507-6-2
その瞬間- 小川 葉自由詩407-5-22
ドア- 小川 葉自由詩6*07-5-20
片思いの距離- 小川 葉自由詩5*07-5-16
ホームシック- 小川 葉自由詩11*07-5-12
飛行機雲- 小川 葉俳句6*07-5-10
押し花- 小川 葉俳句10*07-5-7

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