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漆黒の右手が伸びて
のど元を掴む
“踊りましょうよ”
ポップじゃない
ロックじゃない
クラシックじゃない
ダンスミュージックですらない
音楽が 掛け布団の様に迫る
....
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母が死んだ日の翌朝
わたしはいつもの時間に起きて
いつものようにご飯を食べた
横たわった母の手を
そっと、さわる
(つめたい、手)
(瞼はかたく閉じられていて)
これが ....
手を赤く染める雨を一粒。
摘んで捕まえた。
つぶしてしまわないようにそうっと。
空に泳ぐ寸前の雫の形のまま。
目の前にぶら下げる。
「こんにちは」
(こ ....
初夏の光が交差する
花と蝶とが見つめあい
互いを助け
互いの生を大きくさせる
初夏の光が交差する
空と海とが向かいあい
互いを求め
互いの存在を尊ぶ
初夏の光が交差する
人と ....
何も見えなくていいのだ
握りつぶしてきた虫の数を数えてみようったって
できない
地球の反対側の生き死にだって見えやしない
私は限りあるイキモノであって
書物だのインターネットだのが親切にも教 ....
深い青色をした海が
少しずつ近づいてくる
わたしだけでは
とても耐えられない
そんな場所で
あの人は毎日
立ちつくしている
冷たい手のひら
からめた指がふるえる
見つめると
....