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空が晴れていることを
飴玉にくるんで
青葉を打って落ちる
雨が
夜
ヘッドライトが近づく路上で
浸った黒さの中で
金色の連弾が
跳ね上げる音は
かき乱す
裏側 ....
海へ行った
病気の母を連れて
もう一年も前
秋の始まり
懐かしい
海岸線
生まれた町
揺れないゆりかご
籐の編み目の
飴色の海
その色を
ずっとみていた
ゆっくりと歩いて
波 ....
盛りに
胸像の彼女は太陽の中に沈んで溶けた
彼は銅像のように停止して笑ってみせた
また、冷えて固まっていく季節だ
薄い皮膚から
光沢が失せて
にび色の空の
凍結する{ルビ質=たち}の ....
日の当たる柵の上に座っている
町に何匹ものこがねむしは
踏み潰れて
鉄の車輪の
切りつける音は輪を描いている
灰とか
羽を
風が吹いたらめくり上げて
ひとつ眠って
目を覚ます頃には
....
は
じ
ま
り
は
ひと振れ
蝉の声かな
とおい町外れの
森林から
あたかも
きみとは
まったく
かかわりあいが
ないっていう
そんなふうに鳴いて
そのまま ....
だからたとえば犬のように
白黒でしかものが見えていなかったとしても
濃淡の薄れゆくところ
色彩の変わるところが
あたらしく欲求がなりかわるところで
ぼくが輪郭と呼んでいた ....
建築物の皮膚が
剥がれていく隙間に
君の片目が見えたら
棘を映しこんでいるから
真っ白になるまで燃やそう
それは緑色で 右か左か
どちらの目なのかわからない内にも
....
こんな
晴れすぎているから
隠されてしかるべき一つの
ほんのちいさなことさえも
道路のうえ
黒すぎる影のせいで
焼けて
見つけられてしまう
かつて
日焼けしない手で
ただ赤くな ....
取り違えられた
緑
色の壁
名前を聞かれて
「青」
と答えてしまう
投げた
配水管の中に
あいまいな
猫が
右目がつぶれてしまって
横たわっている
弧を描いたらしい
血が ....