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くしゃみをひとつする、と
私たちは地球儀から滑落して空に溺れる
あの日グラウンドから送った影は
手をつないだまま鉄塔に引っかかっていて
捨てられたビニールのレインコートのようだった
バス ....
「蒼い旋律」
記憶の中から抜けて舞う譜面一枚奏でてみれは゛半音の思い出
セロを抱え閉じた目の中咲く花の絡む紫苑は夕闇の弦
放課後の音楽室でくちづけを交わ ....
「観月橋」
せせらぎの音は
いつのまにか、ざあざあと鳴り
錆び付いた欄干が
しとどに濡れる紫陽花の、夜
ここには愛づる月もなく
ただ名ばかりの橋が
通わぬこころの代わりに、と ....