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夜明け
窓から冷たい空気を
迎え入れたとき
君に恋していたことに気づく
吐く息が白く
一瞬雲になり消えていく
君のいない空の向こうに
なぜ
夏でなくて
この冬の季節に
....
今夜の星は
曇り空でわずかしか見えないが
僕にはそれだけでいい
一等星のように輝いて見える
それは
君だから
何万年光年離れているかもしれないが
僕にはすぐ頭上にあるような
....
控えめに訪れる
波の繰り返し
耳鳴りは怒りを洗い流して
眩い光りの群れが
手のひらで踊り出す
地平線で別れた
青と蒼が
波打ち際で
何億年ものの歴史を
そっと置いて行って
未来 ....
海にあった
窓辺にあった
グラスにもあった
体内で宿し始めた
誰にも見えないままに
春だからではない
出世したわけではない
懸賞に当たったわけではない
その光は
僕だけの ....
第一楽章
ホ長調の音符引き連れた春が
草原に咲く
いつか播いた喜び
これから花開く出会い
朝靄去って
ピアノに向かっている君
....
夜中のしずけさの中で
言葉が涙をこぼしている
いたらなかったこと
おこらせたこと
言葉であるために泣いていた
言葉が化粧をするときは
ひとを欺くため
言葉が銃を持つときは
ひと ....
(わたしは秋
枯れゆく落ち葉のしたで
春の夢を待ち焦がれている)
北国の夏はぬるい
日焼けした肌
汗臭いTシャツ
サングラス
海と空がひと ....
どこにだったか
どこでだったか
てんしのこえきいた
いつだったか
うまれるまえだったか
てんしのこえたしかにきいた
なんていったか
なんかいったか
てんしのこえ ....
あいするそのひとは
いのちあるひと
あいするそのひとは
ひかりあるひと
あいするそのひとは
うたのある ....
詩が生まれないこと
満腹な証し
なにもいらない
なにももとめない
言葉は
ことばであればいい
深みもなく
潤いもなく
その場限りの
ものでいい
詩はないほうがいい
幸せなもの ....
一日が終わっていく
きょうは
1/150億年の一日
ちいさな一日
僕の一日は乾いていた
びしょ濡れだった人もいるだろう
途中で息絶えた人もいるだろう
寝過して飛ばしてしまった
....
掴む
あなたをしることは
太陽をつかむよう
刻んだ空の破片を
脇に抱えて
あなたを見つめると
丘の上の鐘の音が七色に飛び散っている
あなたはいつもそこで
わたしはいつもここ ....
おまじない
君の名前を書く
君の名前を書く
君の名前を三度書く
そうしたら
嬉しくなって
なんでも叶う気がしてきた
信じられる
信じられる ....
片手くらいの
かわいい顔した手帖があって
女の子のような
詩がたくさん書き連ねていた
僕には
春の風を思わせる旋律が聞こえ
夏の陽気さを感じる水彩画でもあり
ちいさな言葉たちだが
海原 ....
ひとつの優しさ
今日の朝振り向いて
ひとつの喜び
今日の朝テーブルの上にそっと
あたたかな温もりに抱かれるように
背中から朝は訪れた
おはようと
ちいさな声であいさつする ....
最後の /色
残されたままに/
/ひとつの ....
いまいましい季節が過ぎ去って
春の匂いを運んで
ちいさな風が
独り言を
ちっちゃな声で
ほんにゃら ほおい
赤いランドセルに
まだおんぶされているような
ふきのとうの葉で
傘 ....
夜は僕の肌をなめまわし
僕の知らない僕のこころと密会する
君は君の手垢をつけ
僕は僕の手垢を付けていく
君と僕の手垢が重なることはない
見つめあうことのないふたり
洗剤は合 ....
穏やかな日々というものがある
一日一日に
棘があり沼地があるのは
ほんとうは知っている
ひとびとは
うまく避けながら果実を探して
今日の美食を味わう
それでも僕は
虹の掛か ....
果てのないような冷たさの
季節にあって
白い六角形の粉末は
人間の傲慢を
目覚めさせてくれるようだ
横に吹き荒れる風を友にして
人の造った灰色の道を
埋めつくし
道と道でない境界線 ....
みかんの皮をむくと
いくつかのいのちが並んでいる
土にまけば
また
みかんといういのちが
生まれていたにちがいない
くやしがっているだろうか
人の手が汚いと
叫んでいるだろうか
....
あなたに伝えたくて
今日も綴ります
夜の静寂に
零れる想いを
あなたを想うから
今日も開きます
昼間閉まっておいた
わたしのこころを
あなたにそばにいてほしいから
今日も ....
さらさらと
お前は何しに来た
こんこんと
お前は何を話しにきた
しんしんと
お前は何を聴きにきた
さらさらと
また人々の掌に舞い降りてきた
....
あなたが感じた
その美しさを
僕の手のひらで触れることが出来るのなら
あなたが感じた
その痛みを
僕の右足で蹴ることが出来るのなら
あなたが感じた
その優しさを
僕の頬がさ ....
ジャガイモの皮を剥いたことある?
妻に尋ねられ
そういえば
記憶に残っていない
娘が小学校低学年のとき
いもの皮むき みんなでしたとき
血だらけになった男の子がいたらしいよ
娘が ....