行間に迷子になったままで
閉じてしまった本に
過去まで戻されました
あの日のあの廊下の隅で
自分を閉じ込めてる
自分を見つけて解放したくなった
その道を歩いて
今にいるのだけど
....
現実へとかえったあの闇の中
頭に聞こえた無機的な音
何が響いているのか心に伝わらない
闇の中蠢く
夢の中戻りたい
やわらかな空気が心包む
まだ水のように心に ....
とあるマスターはこう言った
「一時の情に流されてはいけないよ」
と 熟練の笑みを浮かべながら言っていた
手元には注いだばかりの冷えたグラス
何度目かのおかわりすら忘れれば
カチリ ....
彼女がいろんな物事についてあれこれと意見を述べている間
僕は視界の隅にある一輪の花について考えていた
もちろん話が聞こえる程度に
ごく控えめに
君がもう話すのは7回目の長編 ....
胸に痛みが走ります
もうすぐ人間になるのかな
それともあの空の星屑に
今日こそなれるのかな
傷付けた人との思い出に
また 溺れそうになってるよ
それは優しさじゃないことを
知っている ....
生きてる
つもり
呼吸してる
はず
働いて
働いて
自分を切り売り
なりたいものになりたい
やりたいことをやりたい
毎日毎日
繰り返してたら
気がつくと
自由が ....
シナプスたちのように、うごきあい、点滅する
地上の生きた星たち
今日もどんなかんきょうにあろうと
かなで合っている
それを聴き入ったのは
目をとじれば
誰もが知らない顔の乗る移動の
車窓 ....
(なぜ僕は泣いているんだろ)
バケツやホウキを見て
なぜ僕は泣いているんだろう
全力疾走 雪だるま
寒さにおわれる雪だるま
冬が終わるその前に
どこかの誰か ....
{引用=
木洩れ日おちる
春の小道
端はにゆれる
野の草の
やわらかな
つややかな
風撫でる 葉先
(絡めた小指)
}
陽射しが 美しい絵画の色彩を奪っていくと言う
....
十年? いいや
もう少しだけさかのぼって
私があたしだった頃に埋めたもの
放課後の校庭の隅
老いぼれ花壇のど真ん中
誰にも相手をされなければ
景色の一環とも見られない
....
ああっ、そういえば昨日だったんだよね
意図的に忘れてた訳じゃないし
これって何なんだろうね
「どうしてなんだよ!」
面と向って尋ねられたとしたら何て答えるべきかな
えっとさあ…
....
とん
と背中を押された
ためらっていた足が
転ばないよう
身体を支えるように一歩
また一歩
歩き始めた赤ん坊のように
ぎこちなく踏み出した足と心
こ ....
彼が
どんなに
鈍感でも
業を
煮やして
諦めてはいけません
彼が
どんなに ....
一日のつとめを終えた
きゅうすと、湯呑みがふたつ
流しの隅の入れ物に
ひっそりと、身を横たえている。
時計の針は〇時を廻り
初老の夫婦はあどけない寝顔で
薄っすら口を開けな ....
"I miss you" 窓の外から雪の音 泣きたい夜にホットチョコレイト
いっそのこと泣きくずれてしまいたい
切にねがった 冬の夜
凍りついた感情をさらけだせず
夜風に旅立っていくのはいつだって
かりそめのわたし
一面の雪に埋まってしまった
ぬく ....
私のおなかの上で赤鬼みたいな怖い顔をして
額の汗を拭おうともせず
力強さこそが総てと容赦ない恥骨の痛みに涙を流す
*
さきほどまでの赤鬼が嘘のような寝顔
横になって見つめれば不思 ....
疲れてきたのかな?
女子マラソン観てたあの人がつぶやいた
どれどれとテレビの画面を見やれば
折り返しまで先頭グループにいた選手が何度も後ろを振り返った
背後に見えるのは何なんだろう ....
お嬢さん、ハンカチ落としませんでしたか
なんか懐かしいよね
それから腕時計しているくせに
いま何時?とちゃっかり左手首隠しつつ尋ねてみれば
そうねだいだいね♪
あの頃のあなた ....
ここに一脚の椅子があって
それは懐かしいにおいのする木製の小さな椅子
小学校の教室にあるような椅子
揺らすとかたかた音がした
そんな椅子にあなたは腰かけている
手には一冊の詩集
マ ....
(一)
「ぴーちゃん、ぴーちゃん
トイレってどこなのぉ」
河原の石をひっくり返しては
何やら探していた
まーちゃんが突然立ち上がったと思ったら
おいらの元へ駆け寄ってきた
こ ....
この気持ちを
どうやって伝えればいい、
好きになってしまった心が悩む
桜吹雪に風に乗って
どうか思いが伝わればいいのに
いくら祈っても祈っても
叶わない思いは一体どこで
消し去ればい ....
焼けてきたお肉を器用に裏返してくれる
横の物を縦にもしない性格だと思っていたのに
どうやらそうでも無さそうで
アルコールの度数は低いからと
ビールの飲めない私に勧めてくれた
甘くてとろり ....
季節のかわり目は
いつもどこか淋しい
風が吹くたびに
しがみついていた桜の花びらは枝を離れ
雨が降るほどに
やわらかな景色がその色を増してゆく頃
たとえば新しい教科書の
空欄に名 ....
さあ、また眠れない夜だ
でも不眠症ではないよ
朝方には寝る
昼過ぎて起きる
それを現代医学では不眠症というのかもしれないが
とにかく幸いそれができる生活 今は
友といれば早く起きる ....
さくら 咲いて
遥か山の頂には
あんなに
雪が
残ってるというのに
さくら 咲いて
胸には
こんなに
悲しみが
残ってるというのに
さくら 咲いて
ぼっかり空いたこころの隙間に
あなたの優しさが忍び込む
そのひとに騙されているのではと
友達は忠告してくれた
仮にそうであったとしても
構わないと思ってしまうわたしがいる
ひとの弱 ....
豊かさの中で
ぼくたちは泣いている
ほしいと思ったものが
いつでも手に入るから
いつでも捨ててしまう
持つべきものがなくとも
誰かが持ってきてくれる
便利さだけでは
豊かに ....
声にならなかった
あらん限りの力を込めたはずなのに
例えばそれは
孤島に取り残されたおとこがひとり
遥か水平線に見え隠れする
船影を
蜃気楼だとはなから諦めているかのように
もし ....
月が泣いた夜は
何故か寂しい
赤い目のうさぎは
何も言わずに餅をつく
君が泣いた後は
凄く愛しい
その小さな瞳は
僕の全てに意味を成す
流れ星 きらり
(きらり)
僕ら寄り ....
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