マンガを読み
その続きを楽しみにしていた
大学の先輩を思う
彼は三年前に病死したが
今もよく頭の中で会う
頭の中で彼も
このマンガを読んでいるだろうか
先輩の好きだった人物が ....
黒い道路を
雨が流れて
激しい雨が
夜を始めて
光が映って
楕円に歪で
激しい
雨が
降って
鍵盤を
両手で
駄目な
両手で
ちぎれ
....
私は、私の影であり
影は、影の影である。
どこまでも
黒く透ける現し身を
冷たい風がなぞり
さみしい熱を奪い去っていく
だからといって みたされることはない
このささやきが、色づ ....
あんああああくびするより空に手を布団パンパンあたたかな風
どれを着てどれを仕舞おう→ほとんどが新品のより着慣れたものに
この風景をあなたと歩いて部屋に帰るまで疲れるくらいに
どこまで ....
夢のように細い骨で
ぼくたちは生きてきたんだね
愛についてを乞うたのならば
骨と枯れても
幾千
幾憶
そこには声があった、と
想う
....
君はもう忘れたんだろ角にあるセブンイレブンでキスをしたのは
冗談にならない嵐 外に聞き“永遠はない”わかってはいる
「もしもし」とのろい私を罵ってくれるウサギが君ならよかった
....
遠く透けた青の先に
星が瞬いたように見えた
メトロノームと馬車馬を
足して割ったかのように
徐々に朽ちて行く時の片隅
枯れる事も出来ないまま
街路樹はやがて眠る
安らかでさえない ....
夕暮れのバス停で
鳥になるの、と
呟いたきみの背には
小さく
ほんの小さく、翼が生えていて
ぼくは思わず
溜め息を吐いてしまった
砂時計の砂を飲み込んで
時を止めようとしたことを ....
器の
壊し方を知っている
けれどもわたしは
外側にいない
器の
壊れ方をおぼえている
けれどもあなたは
内側にいない
朝と呼ばれるものや
愛と呼ばれるもの
....
彫刻家であると同時に、優秀な墓石職人でもあったミロは
首だけの友人に言った。―墓の無い墓もあると。
一方で、友人は相方である胴体の到着を待ち続けていた…切り離された
胴体は雑踏の中をふらふらと ....
青空の色を教えて欲しい
熱帯の色を教えて欲しい
と女は言う
なんだかこの世の終わりから2番目のような
質問をしてくるので
わたしは無口になった
海へ行ってサングラスかけて
焼 ....
電話番号占いって知ってる?
って唐突の質問
教えてよっていえば
じゃあここに番号入れてと
携帯を差し出すあなた
結果はどう?って訊いたら
明日運命のひとから電話があります、だって。
....
ぼくはおんなのこ
夜中にまちがい電話して
あわてて言い訳して切った
気がついたら朝
半分くらいはかなしい
もう半分はあわてておぼえてない
ぼくはおんなのこ
ほんとうは誰が好きか知って ....
誰も
さよならを言わない
誰も、何も、言わない
*
ジ、
ただ
重々しい青へ、空の、青へ
弾け散るように飛び立った蝉の
既にこげ ....
隣の部屋に 弟と 女の影が吸い込まれ
床がきしむ音がする 蛍光灯の紐が揺れる
少し大きいボリュームで B.G.Mをかけてれば
話しは しづらいだろう マスキングのつもりかな
あの ....
すじ雲が広がる空の中で
遠くの方で飛行機が弧を描く
ゆっくりと大きな旋回だった
夕陽に反射する銀色が
勇ましかった
飛行機は目的地に向かうための
方向を変えるというよりも
今の空をす ....
台風一過の夕焼けには
いつだって
涙を浮かべて
手を振ってしまう
『台風のクジラ』
僕は台風の前日には
落ち着かない子供だった
ずんずんと迫ってくる
雲の足音や ....
地下鉄のホームで
女子高生がケータイで喋っている
と思ったのだが
よく見てみると 女子高生のように見えたのは
等身大の女子高生型ケータイストラップで
空中に浮いたケータイからは
小さなノイ ....
砂に埋めた記憶が
呼吸を止めて
海水の表面張力が
零れそうになる
あなたは
なくしたものばかり
瞳にうつしたがる
蝕まれる日のいろをぼんやりと眺めてた
次の宇宙がうまれるまで
ぼくらはここに立たなくちゃならなかった
一度でもきみがさみしいを言っていたら
ぼくだってその腕をつかんで ....
夏のぬくもりってどんなの?と少女、軋む氷のかけらを溶かす
この雨が上がればさよならの予感半袖の先爪に塗りこむ
果汁がどのくらいの夏ならいいの太陽と日焼け止め調合
何も考えずに揃って鳴 ....
今、きみ
東京都渋谷区
スクランブル交差点と呼ばれる
モノクロボードで
にゃー、と一声
叫んだと同時に
爆走を開始
早く早く
風より早く
器用に人の群れを避ける
そこら辺で一番の
....
朝目覚め窓見てみれば
澄みきった青
白い雲 穏やかな空
吹き返す風の強さに耐えかねて
君を盾にし
突き進まんや
過ぎ去って
祇園祭は出来るよう
着物姿の男女が向かう
....
地球がゆれる
人間をふりおとしたいんだって
たぶん
きみが火星にとんで
あたしが木星にとんで
フォルダみたいに
分かれていく
単体は寂しい
--
今日はまだ ....
今日はきっと晴れるんだろう
鳥の声が絶えず聞こえてくる
流れている水音は内からで
だから頼りなく揺らめいている
目を閉じても辺りをくまなく照らすのは
まぎれもなく一つの願い
どこ行こう ....
里芋の葉に露玉を宿らせて
風も光りて土用に入る日
身体ごとゆるるが如き北山の
杉のみどりが視野に広がる
微熱ある夜を目覚むれば
枕辺に誰がつけくれしか蚊取香匂ふ
熱湯の ....
放出された 夏の、
取り扱いをあやまった空から
束ねられた雨が落下する
世界はまだ、はっきりとした輪郭を持っていて
ぼくも きみも それを知らない
ウィリー、ウィリー、
なぎ倒さ ....
雨の降りそうな赤い夕立前に
背中だけ次々落ちてきた
それはいつも誰か
夜の底辺、まどわされる時間へ
ふかした歌を染み付かせていて くたびれていて
もう煙らないんだ
もう静まないんだ
....
ある日
耳を失った少年は
歩いている道で翼を拾った
少年はその翼を背中につけて
ふわふわと自由に飛んだ
何も聞こえるものはなかったけれど
少年は音を取り戻した
ある日
目を失った少 ....
昼さがり 鱧祭り
ひとりよがり ふわりふわり
入れ替わり 立ち替わり
上がり下がり のらりくらり
声を出したって 誰も気づきゃしないさ
とても複雑に 君を抱きしめたいんだ ....
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