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遥かの香りを頼りに
うしおを連れて
白銀になった髭が
私の頬をなぜながら
けおん、と哭き
輝くはずであった私のくちべにを
好きだと言って、
ざぶり、と
その巨体を沈めてゆく
眠りにつく
遥か昔 ....
昨日までやわらかかった
祖母の手には
取り返しのつかない
岩石が生えてしまった
気味悪がる僕をよそに
つうんとした口調で
おこづかいをあげる
なんて言い出したから僕は
* ....
流れてしまつた雲を追いかけて
防波堤を越えた、二人だけの流星を掴み
散りばめたあとの笑顔を見ましたら
それはもう、美しいとしかいい様のないほどに
ふたりの時間は流れていつたのでした。
ぎ ....
たまごを
割るように
涙を
流す
そんな人が
好きだ
誰かを
傷つけもせず
自分も
するりと
誰かに
溶けて
真ん中に
咲いて。