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誰も
さよならを言わない
誰も、何も、言わない
*
ジ、
ただ
重々しい青へ、空の、青へ
弾け散るように飛び立った蝉の
既にこげ ....
隣の部屋に 弟と 女の影が吸い込まれ
床がきしむ音がする 蛍光灯の紐が揺れる
少し大きいボリュームで B.G.Mをかけてれば
話しは しづらいだろう マスキングのつもりかな
あの ....
すじ雲が広がる空の中で
遠くの方で飛行機が弧を描く
ゆっくりと大きな旋回だった
夕陽に反射する銀色が
勇ましかった
飛行機は目的地に向かうための
方向を変えるというよりも
今の空をす ....
台風一過の夕焼けには
いつだって
涙を浮かべて
手を振ってしまう
『台風のクジラ』
僕は台風の前日には
落ち着かない子供だった
ずんずんと迫ってくる
雲の足音や ....
砂に埋めた記憶が
呼吸を止めて
海水の表面張力が
零れそうになる
あなたは
なくしたものばかり
瞳にうつしたがる
蝕まれる日のいろをぼんやりと眺めてた
次の宇宙がうまれるまで
ぼくらはここに立たなくちゃならなかった
一度でもきみがさみしいを言っていたら
ぼくだってその腕をつかんで ....
今、きみ
東京都渋谷区
スクランブル交差点と呼ばれる
モノクロボードで
にゃー、と一声
叫んだと同時に
爆走を開始
早く早く
風より早く
器用に人の群れを避ける
そこら辺で一番の
....
地球がゆれる
人間をふりおとしたいんだって
たぶん
きみが火星にとんで
あたしが木星にとんで
フォルダみたいに
分かれていく
単体は寂しい
--
今日はまだ ....
今日はきっと晴れるんだろう
鳥の声が絶えず聞こえてくる
流れている水音は内からで
だから頼りなく揺らめいている
目を閉じても辺りをくまなく照らすのは
まぎれもなく一つの願い
どこ行こう ....
放出された 夏の、
取り扱いをあやまった空から
束ねられた雨が落下する
世界はまだ、はっきりとした輪郭を持っていて
ぼくも きみも それを知らない
ウィリー、ウィリー、
なぎ倒さ ....
雨の降りそうな赤い夕立前に
背中だけ次々落ちてきた
それはいつも誰か
夜の底辺、まどわされる時間へ
ふかした歌を染み付かせていて くたびれていて
もう煙らないんだ
もう静まないんだ
....
ある日
耳を失った少年は
歩いている道で翼を拾った
少年はその翼を背中につけて
ふわふわと自由に飛んだ
何も聞こえるものはなかったけれど
少年は音を取り戻した
ある日
目を失った少 ....
国のためには死ねないけれど
恋人のためなら死ねると思う
そんなことを言う若者が増えてきたので
国は美しい女の振りをして
全国の若い独り身の男たちに
情熱的なラブレターを送りつけた
まん ....
こんな夜、
一人浅い夢から目覚めて
窓外を揺れる葉擦れのざわめきに
わずかに明るむ緩やかな月光に
胸に満ちて来る何ものか
心を澄ますと潮騒の響きに似て
耐えきれなくなる 抑えきれなくなる
....
壊れかけた玩具の銃で戦う相手も見つからない
生ぬるい十五の終わり
青春には程遠い
遠くのものほど美しく見える未来も過去も
いつか許せるときが来るのか
それとも愚かと笑 ....
電源が切れそうな時代が 着信拒否を続けている
ぴーぴーぴー 「現在」 使われておりません。
切れ切れな断片が
物語になったとき
私は若さを失った なんつって、
わたしたちが「わた ....
そうして君は、と
切り出した言葉の奥で
俯いたままの昨日は
指をくわえて
泣き崩れていたりする
引き金を引いた僕と
受動態を貫いた君の
どちらが正しいのかさえ
僕には分からなくて ....
雨が
雨らしく降って
「男」と書けば
身を守れると思ってるらしいが
マニアには
見破られている
わたしは
蒼アザができていたことも知らずに
あの子とSEXできたらいいなって
....
空に浮かぶ
小さな、輝きたちを
指先でつまんでは
ごくりと飲み下す
たくさんの色で
彩られた私は
いつか、同じように
あの空に浮かぶこと
夢、見ている
**
....
あちらに見えますのは
地球が壊れてゆくさまです
今宵のゲストは
火星人の皆様です
僕らは止まっている
先へ進んでいるように見える原因は
地面ごと
動いているからなのだ
水た ....
「ヘンリーってのは
どこの国のサッカー選手だい?」
ねえ、母さん
ヘンリーはアイルランドの選手だ
ヘンリーはアイルランドのカレッジのチームで
今日もベンチを温めている
ヘンリ ....
規則的に点滅繰り返す蛍光灯
「本日の放送は以上をもって全て終了しました」
冷めかけの珈琲 書きかけの日記帳
あとに残るは破られたカレンダーと砂嵐だけ
どうしてだろう
僕だけが ま ....
僕は何度も星の詩を書いたけれどまだ書き切れていないんだ
僕に羽があったなら君の元へと飛んでいくのに
けどそんなの無理だから夢の中で君と一度だけ見たプラネタリウムを見て涙を流していたんだ
....
地下道の便所の前に
何も書かれていない
真っ白な短冊が
くしゃりと折れて
落ちていた
無人の通路に
夜の靴音を響かせながら
便所を通り過ぎる
Tシャツの背中を ....
若い母の膝上に
抱かれた幼子は
ぐわ〜ん ぐわ〜ん
と泣きわめいていた
やがてその泣き声は
ぐわはは ぐわはは
と転がる笑い声になった
人目を気にしながら
若い母 ....
声は枯れ
いつだって月日は流れ
最大の星最小の闇
横顔はプラズマへと昇華し
いつまで石でいようか
いつまで渡りきったつもり
跡形もなくまるく研磨された石
するする滑って
....
目覚めろと夫が言う
育てた花から種をとり
今年蒔いたものが発芽した
花はいい
はやく お前も目覚めろ
水と陽射しを気にしながら
隣りでいう
と それは
パソコンに向かってる私が
....
さようなら
さようなら、
空を
じっと
眺めている
百千万の兵隊が
降り注いでいる
擦り鉢状のせいめいに
朝が、
手渡されている
擦り潰すの ....
へらへら顔に
爆発頭
だけど心はセンチメンタル
僕に触れたら
誰もが懐かしさに浸って
死んじゃうから
離れててほしい
昔のアルバムを
朝焼けに
溶かしてしまいたい
十六 ....
夏の朝
とうもろこし畑の中に溶けてみた
一直線に並んだ黄緑の
甘い匂いが夏だった
気づけば夏の中に溶けていた
黄色の穂先から見上げる青空は
水を見ているようだった
土から湧き出る水蒸気が ....
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