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私の影がそろりと
地表から剥がれる時
私はやはり独りで
遠く空を見上げているのだろう
そして夜毎夢の中で
出逢う死者たちは
いつもと同じ柔らかな手を
差し伸べるだろう
けれど彼 ....
昨日哀しみを突き放し
今日の瞼は何も隔てない
地表を渡る細波を
裸足でなぞり
葉の無い枝のように
四方へと手指を広げている
数羽の鳥が羽を休める
屋根の上には
ソーダ色の空が
....
君が僕の詩を待っている頃
僕は君の声を待っている
賑わう街では肩を擦らせながら
人々が振り返らずに先を急ぎ
増殖した三角ポールは
国道の硬いアスファルトを齧っている
橋を渡れば ....
まるでひとつの季節が終わるように
僕は死んだので
周りの誰もがそのことに
気がつかなかった
僕だって少し前から
予想はしていたものの
実際にははっきりと
自覚している訳ではなかった
....
移る
ということは
時に哀しい
確かにあると
信じたものが
まるで儚い霞になるようで
移る
ということは
時に嬉しい
身動きがとれないほど
縛られたものから
ふいに解 ....
平凡なお別れをした僕らは
やがていずれきっともうすぐ
偶然も必然も届かぬ場所で
二度とその声を聴くことも無くなるのだろう
覆い被さる波のような日々の中で
わずかにこの手に掬い上げられ ....
呼吸が緩く渦を巻く
雨の涸れた風の世界
けれど風は
こちらからあちらへ
あちらからこちらへを繰り返し
その先の
どこへも流れない
白を放ち続ける街灯以外の
全ての静けさに横 ....
木の枝が重ならずに生きていくことを
描き言葉と伝え言葉が生まれる
それぞれの心の在処を
まるでひとり言でも呟くように静かに
少し楽しげに君は教えてくれる
大きな木の根元に寝転んで
....