すべてのおすすめ
 
 
世界は晴れあがっています 
わたしたちの頭は禿げあがっています 
この頭の表皮に繁茂している
おびただしい髪の毛がすべて 
アデランスだと言っても
あなたは信じるでしょう 
で ....
 
 
季節風の匂いを嗅いで
キリンは立っていました
傷を負っていましたが
綺麗事も言わずに
毅然と起立していました 
記念碑のように遠くまで見えました
切り立った崖の上
希望という ....
 
 
信号待ちをしている間
わたしたちは話をしました
空は曇っていました
とても長い信号でした
三十メートルくらいはありました
話も長くなりました 
けれどわたしたちの身体と言葉では ....
 
 
図書館の海に
沈んでいく
『決定版 小林カツ代の毎日おかず』
(今日から使えるシリーズ)

外では間の狭い男が
雨のように泣いている

耳の穴から
半透明の小エビが出て ....
 
 
レジの長い列に並ぶ
列は進んでいるのに
なかなか順番は回ってこない
季節はいつしかすっかり秋となり
半袖のTシャツでは
肌寒く感じるようになった
小腹も空いた
トイレにも行き ....
 
 
午後八時五十分発の
てんとう虫に乗る
潰さないように気を付けていると
言葉に疲れた兄が一人やってきて
優しい飲み水を差し入れしてくれた
ありがとうございました
そうお礼言う前に ....
 
 
影を連れて出かける
ふとした拍子に
私と繋がっている唯一の
糸のようなものが切れて
影はどこかに飛んで行ってしまった
影の無い私は
午後三時くらいの腕時計を見る
 
 
 
 
カバンを抱えて人を待っている
いつしかカバンから手足が生えてくる
カバンに抱えられる
私の手足は引っ込む
カバンが私のファスナーを開ける
あんなにあった体の中身がなくなっている
 ....
 
 
道路を丸めて食べる
どうしたら草の音みたいに
生きることができるのだろう
 
曲った色鉛筆
間違えないように覚えた言葉
値札の無い指の軌跡
並べることばかり
いつの間にか上 ....
 
 
バスが山道のカーブを曲がりきれずに
ガードレールと  
摂食した
バスとガードレールが何を食べているのか
ここからはよく見えなかった
ただ黙々と摂食を続けていた
いっしょにバス ....
 
 
色鉛筆のケースの中で
弟が眠っている
一番落ち着ける場所らしい
父と母はテレビを見て
時々、笑ったり泣いたりを
繰り返している
ケースから出された色鉛筆で
僕は絵に色を塗る
 ....
 
 
窓ガラスに
幼い指紋がついていた
指紋をめくると
それは昔の日記帳だった
歩道橋で終わっていた
日記の続きを書くために
歩道橋を最後まで渡り
階段を下りた
まだ小学生で
 ....
 
昨日より冷たい君の
手を引いて
坂道を上る
君の腕が肩から
肩から抜けてしまわないように
そっと引いて上る

途中、誰がつくったのか知らないけれど
昔からある赤茶けた工業地帯が
 ....
 
会議室を人が歩く
金属や樹脂などでできた
冷水機のようなものがあって
その向こうに浜松町が広がっている
どこまで行っても僕には体しかないのに
ポケットに突っ込んだはずの
手だけが見つ ....
紙の水面から沈んでいく
鋼鉄の季節、眼はあなた
乾いた舌で皮脂の
履歴が記された頁を朗読する
排水機場の細かい部品が
錆びて赤茶けていく
ざらざら、その過程
時間はあなた
 
 
言葉の近くで
酸素を見ています
午後に置き忘れた椅子から
ずり落ちているあれは
靴の始まり
裏側を覗くと
もう誰もいません


+


金歯の中に広がる曇り空を
 ....
 
僕の頭の上に
女王様が巣をつくった
重みに耐えていると
紅茶の良い香りがする
きっと紅茶を飲んでるんだろう
「まあ、きれい」
きれいなものは誰が見てもきれいだ
僕はずっと
死んだ ....
コピー機の隣に
幼なじみが立っていた
靴を片方なくしてしまったと
挿絵のように
静かに泣いていた

右手を左手首のあたりに添えるしぐさは
昔と同じ感じだった
野で摘んできた白い花を ....
ぼくの隣
静かなきみのポケットに
たぶん幼い
春が来ている

手を入れれば
指先に形のない手触り
必要な幸福は
それで足りる

春になったら
そう言い続けて
ぼくらは今
何を ....
 
話す声が小さくなっていく、朝
きみは一冊の
ノートになった

軽くなった身体をめくって
話の続きを書く
これからは大切なことも
大切、とは少し違うことも
こうしなければきみに届か ....
指専用のバス停に
思い思いの格好で指が並んでいる
やがて指専用のバスがくると
指たちは順番に乗り込んでいく
おそらく指にしか
行けないところがあるのだ
慰めが必要だったのは
本当は誰だっ ....
どこまでも伸びていく高層ビル
の死体が落ちていた
凶器の不完全な空が
垂直に突き刺さっていた

その空は途切れ途切れに
けれど果てしなく広がっている
という噂話を
人々はこよなく愛 ....
てのひらが
形を覚えている
包み込むと
うまくおさまらないので
足りないのだと気づく

これで消しゴムを買いなさい
少年は言いつけどおり
薄暗い文具屋で
できるだけ沢山の
消しゴム ....
21

カレンダーを見ると
夏の途中だった
日付は海で満たされていた
子供だろうか
小さな鮫が落ちて
少し跳ねた
恐くないように
拾って元に戻した



22

フライパ ....
11

ジャングルジムの上で
傘の脱皮を手伝う

またやってくる
次、のために

海水浴の帰り道
人の肌が一様に湿っている



12

ピアノを弾くと
鍵盤がしっとり ....
 
小さなバス停を飼った
小さい割にはよく食べた
それでも店員の言ったとおり
あまり大きくはならなかった
一日に数本小さなバスが停まった
行先はどこでもよかった
夜、明かりを消して床に着 ....
 
ある日ふとあなたは
わたしの優しい母となり
慣れないヒールの高い靴を履いたまま
図書館のカウンターのはるか内側
シチューを煮込んでいる

戸外、三角ポールの静かな
駐車禁止区域に来 ....
つぶれたステーキハウスの駐車場に
制服を着た男の子と母親らしき人が立っていた
二人でじゃんけん遊びをしていた
昨日も同じところにいるのをバスから見た
違う遊びを楽しそうにしていた
毎日あ ....
大好きな果物の
味でもしたのだろうか
モノレールの銀色の車体に
君の歯型がついてる

先ほどまでは
玄関の無い所
スリッパと同じ格好をして
スリッパを並べていた
今は肩を丸出しにしな ....
晴れた日に
ひばりの鳴き声を聞きながら
地雷を踏んで遊ぶ
僕らはまだ
子供のまま
誰が一番遠くまで脚を飛ばせるか
競い合って
ひばりの鳴き声を聞きながら
でも、もうちゃんは間違えて
 ....
乱太郎さんのたもつさんおすすめリスト(30)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
頭皮行- たもつ自由詩812-5-27
起立するキリン- たもつ自由詩812-1-6
信号待ち- たもつ自由詩311-11-18
小景- たもつ自由詩211-11-5
レジに並ぶと- たもつ自由詩611-10-2
月夜にカーテンを買って- たもつ自由詩511-8-17
腕時計- たもつ自由詩511-7-14
中身- たもつ自由詩6+11-6-8
手渡し- たもつ自由詩1711-2-6
- たもつ自由詩610-12-16
色鉛筆- たもつ自由詩1910-10-30
エリーゼのために- たもつ自由詩2510-8-19
接続詞- たもつ自由詩1109-11-17
- たもつ自由詩33+08-10-3
水面- たもつ自由詩408-5-12
童話の続き- たもつ自由詩1808-5-1
景色- たもつ自由詩1408-3-26
挿絵- たもつ自由詩1208-3-22
裏木戸- たもつ自由詩3008-3-7
軽い身体- たもつ自由詩2108-1-28
窓ガラス- たもつ自由詩1207-12-12
証拠- たもつ自由詩1207-12-7
てのひらの少年- たもつ自由詩1007-11-8
「その海から」(21〜30)- たもつ自由詩20+*07-7-23
「その海から」(11〜20)- たもつ自由詩2207-7-20
- たもつ自由詩1307-7-3
- たもつ自由詩1507-6-30
じゃんけん- たもつ自由詩707-6-29
戯曲- たもつ自由詩1207-5-25
ひばり- たもつ自由詩1607-4-9

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