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  席はあったが
  わたしは座らなかった
  銀いろの月によく似た
  さみしい言葉だけ胸の奥に置いて
  けれども誰にむけたものかわからず
  きまり悪い笑みをうかべて わたしは ....
  晴れた日も、雨の日も、花束は
  年式の古い、ベージュのビートルの
  黴臭いトランクに入れられていた
  (どこがどうとは言わないが)蝸牛に似た平べったい影が
  後部座席にいつ ....
  水色のピアノを
  あなたは弾いていた
  獰猛なまでに素早く指をすべらせ けれども
  唇の端にはささやかな笑みをあつめて
  手に負えない{ルビ巨=おお}きさと
  理不尽な ....
  夜が、
  たえまなく改行を続けているあいだ
  いくつかのケーキがゴミ箱に捨てられ
  何匹もの犬が鳴きながら焼き殺され
  きみの体に秘められた、すべての
  愛らしい軟骨は ....
  暗い夜には
  一羽の鳥がやってきて
  私の口に潜り込むと
  枝を使って舌根の辺りに巣を作り
  数個の卵を産みつけ飛び去ってゆく



  朝、私の舌で
  殻を破 ....
  古い五線譜からきみは
  しゅるしゅると一本を抜き取り
  四角い枠を作ると
  そのなかに月面の色を塗った
  それは正しいことだ
  それは、正しいことだ
  ぼくたちの耳 ....
{引用= 「いくつかの骨」

  お前の
  すべすべした手の甲の
  化膿した傷口から
  いくつかの助詞が突き出ている
  それは月夜の骨のように
  生々しくも無機質だ
 ....
  今夜の
  君の手の指は
  ストリップ劇場で
  ストリップ嬢が使う
  あのポールによく似ている



  ブラディ・マリーの朱い滴を
  君が薬指から舐めとるとき
 ....
{引用=   悲しみを一匹の鼠と錯覚していた正午に、
  石から石へと移ってゆく影こそが私なので
  あった。落葉が、古くなってしまった楽譜
  のようにぺらぺらと捲れてゆくときに、ゾ
 ....
  田園は
  青空の下で完結している



  黄金の海の中
  細い糸のように老いた
  一人の農夫が稲を刈っているのを
  私が妨げようとするとき



  もう ....
  胡散臭い
  新興宗教みたいな夜のバーで
  僕は水しか飲む気がしない
  みんないて
  みんないない
  ここにあるのは
  下手糞な詩の下手糞な朗読
  ここにあるのは ....
{引用=  夕暮れ近くになると
  老いた女がアスファルトに
  一つの箱を置きにくる
  ただの箱だ
  ダンボールでできた、薄暗いだけの
  小さな箱
  それを置くと女はきび ....
  そこに
  動かないものがあったので
  蓋を開き
  白い花弁や
  視線や
  高層ビルなどを
  挿してみた



  動かないものは
  動かない
  闇を ....
{引用=「葡萄」

  葡萄の皮を
  小さな部屋の
  ドアをひらくように……
  ……
  そのなかには
  何か
  静かな音楽を奏でているひとが
  椅子に座って
 ....
  そんなに簡単に
  悲しむなんて
  駄目だよ
  ぼくが許さない



  レモネードがはじける
  モリッシーが嗤う
  あまりに
  ぶきような
  きょうの日 ....
{引用=  ある日
  ひとつの
  比喩が語られ
  取り戻せない距離を
  旅立ち
  細長く
  何処までも
  鏡として連なり
  映し
  流れ
  響き
   ....
{引用=   煙は夜通し立ち昇っていたが、朝が来ると流れ
  去っていった。山火事。草木は焦げ、稲穂の色。
  焼死体を、鴉の声が埋葬してゆく。一つ一つ、一
  つ一つ。雪を雪が追う。視 ....
{引用=  (くらげ)
  湖を深みから引き裂く、かなしむことの発光。



  (ねむり)
  音へと落下する胡桃へ
  と落下する井戸へと落
  下する空へと落下する
  ....
{引用=   夏祭りは静かなの。太鼓と囃子と人の声とで、耳
  には暑い夜がぎゅうぎゅうと詰まっている。唇の動
  きが形づくる。視線だけが傷をつける。夏祭りは映
  像的ね。あなたの心 ....
  一輪のすみれを
  花のところだけ切り落とす



  いとしい{ルビ女=ひと}よ
  きみの優しさが
  どこまでも悔しかったからです
  きみの洗ってくれた
  白いシャツ
  お茶をこぼしちゃったよ



  二つの椅子が
  笑っている
  名前もしらない駅で
  通過待ちをしているような午後


 ....
  夏の朝の
  コインランドリー
  放りこんで座る
  わたしと
  あなた



  何だろう
  あなたは笑って話している
  わたしは
  聞いていない

 ....
  恋に落ちる
  わたしが落ちる
  瞳が
  胸が
  たましいが落ちる



  小石のように
  みずうみに落ちる
  透きとおっている
  水草もゆれる
   ....
  余計な話ばかり
  聞いて
  喋って、
  つかれてしまったよ



  関係ない
  関係ない
  椅子と
  ブランケットをたのむよ
  飲みものはいい

 ....
  日曜日、
  くさかんむりの広がる野原で
  ピクニックをする
  あなたは適当なところに
  持ってきたもんがまえを敷いて
  ここに座りましょうという
  おべんとうよ、と
 ....
  雨に咲く
  色の傘



  笑む花
  泣く花
  歩く花



  雲とは
  笑みつつ見ている
  巨きな眼差し



  やがて
  陽に萎む ....
  晴れた日は外に出て
  あなたの言葉に
  二本の足を貸してあげよう
  ヘッドフォンは
  はずしちゃいなよ
  晴れた日は
  言葉の散歩に行こう



  なだら ....
  長く
  太い縄があるといい



  南中を見計らい
  太陽に繋いでくれ



  なるたけ
  丈夫な縄がいい
  僕を
  あの光に吊るしてくれ


 ....
  黄金みたい、
  晴れ空につたう



  とりどりの雨、
  それだって君さ。



  この景色、
  ひかる希望。
  さそう絶望?
  違うね、
  ひ ....
  軽蔑されたことのないひとは
  ぼくが軽蔑してやる
  殴られたことのないひとは
  ぼくが殴ってやる



  傷つくことに慣れたというなら
  死んでみな
  心をつぶして平 ....
乱太郎さんの草野春心さんおすすめリスト(40)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 草野春心自由詩1014-5-21
年式の古いベージュのビートル- 草野春心自由詩414-3-6
水色のピアノ- 草野春心自由詩613-10-28
たえまなく改行を続けているあいだ- 草野春心自由詩812-8-20
- 草野春心自由詩11*12-1-21
月面- 草野春心自由詩7*12-1-1
言葉へのコラージュ- 草野春心自由詩5*11-12-19
クレーン・ゲーム- 草野春心自由詩7*11-11-21
私へのコラージュ- 草野春心自由詩4*11-10-8
田園- 草野春心自由詩611-10-5
ギター- 草野春心自由詩7*11-9-28
光の棺- 草野春心自由詩511-9-25
動かないもの- 草野春心自由詩511-9-15
女へのコラージュ- 草野春心自由詩5*11-8-27
レモネード- 草野春心自由詩10*11-8-25
水へのコラージュ- 草野春心自由詩6*11-8-21
光へのコラージュ- 草野春心自由詩411-8-16
闇へのコラージュ- 草野春心自由詩1*11-8-9
顔へのコラージュ- 草野春心自由詩4*11-8-6
すみれ- 草野春心自由詩511-8-4
午後- 草野春心自由詩3*11-7-20
コインランドリー- 草野春心自由詩311-6-26
みずうみ- 草野春心自由詩411-6-24
銃声- 草野春心自由詩5*11-6-21
くさかんむりの広がる野原で- 草野春心自由詩26+*11-6-5
雨に咲く- 草野春心自由詩3*11-5-29
言葉の散歩(あるいは、詩の作り方)- 草野春心自由詩4*11-5-26
南中- 草野春心自由詩6*11-5-21
天気雨- 草野春心自由詩311-5-17
軽蔑- 草野春心自由詩2*11-4-13

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