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この爪を折っても
しぶとく生えてくる

この爪を折っても
歳を取れば 記憶は遥か彼方

この爪に火を点せば
僅かながら この灯りで
道に迷うこともないと口にすれば
痩せ我慢だと隣人は ....
逆立ちしてみれば
総てが180度 別世界であります

たった一人 逆さまな様は
見ず知らずの者から見れば 滑稽であります

この視線で眺めれば
ぞんざいな気の流れが
清浄な気の流れに見 ....
東京よりも冷たい 氷の陸地
夜もしんしんと深まって
冷え切った雪が
我慢出来ずに
{ルビ懐=ふところ}に落ちていきます

散らばった日本語が
冷たい雪で{ルビ埋=うず}もれます
私一人 ....
十二月某日
この地はまだ吐いた息が白くならない
気温はこの時期にしては穏やかである
相反して 福岡の繁華街は喧噪としている

次から次へと
多系統の行き先を掲げた市バスが滑り込み
 ....
月曜日
突き刺す気嵐の中
若い女が ビールを振る舞う
突き刺す気嵐の中
マネキンの片手に数羽の鳥が止まる

火曜日
隕石が飛び交う真夜中
若い女が アイスを振る舞う
隕石を避けて生き ....
若葉は青臭くていいと
老いた葉が
羨ましげに
鑑賞している

尖っていた葉は
あなたを守るため
傷つけるためじゃない
でも 遠ざけたのは

青くて頼りない葉だったから

そ ....
あの{ルビ鋼=はがね}の壁を
いつしか破れると信じて
今日まで生きてきた

壁一直線に何度も叩いた拳は
赤鬼よりも おどろおどろしく
涼しげな白の壁が 次第に青くなっていく

この一振 ....
海沿いを走る列車が
波飛沫を浴び
潮風を{ルビ喰=く}らってサビまみれだ

通りすがるたびに
このリビングに{ルビ軋=きし}む音が
クロスに跳ね返ってこだました

生活の一部となった音 ....
この香りが五月でもないのに
懐かしさが全身に{ルビ迸=ほとばし}る
僕は気になる この香りが

逆らいに倒れた僕をそっと
この華奢な体が抱いてくれた

揺れまいと
木の葉が{ルビ頑=か ....
嘆きを海に投げかけてみた
試練の波が激しく返り

嗚咽をあげた私に
百雷の海鳴りが

怒涛のように
私に叱咤激励を置いていった
透き通ったグラスに
白く砕けた貝殻を入れる

カラカラと乾いた音が
私の耳を潤す

グラスに耳を当てれば
澄んだ音色が

脳天から足の爪先まで
私の体を支配する

あなたは恥ず ....
いつもの時間の
いつものバスに乗って
いつもの席の
いつもの窓に
いつもの体制で 頬杖付けば

いつもの眩しい日差しが入ってくる
いつものように 目を細め
いつもの 陽の当たらない反対 ....
可能性は宇宙よりも無限
膨張していく宇宙よりも遙か
遙か背中を追って
{ルビ僕等=ぼくら}は{ルビ久遠=くおん}と疾走していく

広大な海原に踊る大星雲
幻でもない想い人たちが
明星より ....
現住所に越して早4年
アシナガバチと共存して早4年

越して一ヶ月目に
換気扇から進入してきた時には
家中大騒ぎだったけど

今では お互いに干渉しない!ってことで
良い距離 ....
踏み出せず 躊躇する君の背中を{ルビ戦=そよ}がす 小粋な潮風 茜の空と群青の海

私は その{ルビ間=はざま}に行きたくなりました

赤紫の{ルビ間=はざま}は 空でも海でも陸でもなく

名の無い存在で

寂しげのような 楽しげのような

{ ....
ようこそ、バードランドへ
螺旋階段をネジのように
巻いて巻いて降りると
忘れていたオルゴールが軽快よく鳴り出した

休まる音色が耳に割り込んで
握りしめてた拳が 段々と緩やかに開いて
掌 ....
この雲は 秋コレクション 網目織り ギャラが安いと三文役者が
太陽の尻に銃口を突きつける
ビクつく太陽がしゃがむ

突然の暗転に 頭真っ白の女優が
台詞をスッカリ忘れ
毛染が欲しいと舞台から逃げ出す

ドサクサに紛れて逃 ....
向日葵越しの夏影
此処だけが安らぎの場

強烈な眼差しから
人見知りの私を守ってくれる
大きな体のボディーガード

ライオンの{ルビ鬣=たてがみ}が揺れるたび
あいつが怯える

キ ....
黒夜を作っている
欲しがる者が
あまりに多いから

黒夜に混ざって
溶け込めばいい
祭りの中へ

素になる黒夜を
好んでくれるから
今日も作っている

真空と混ざって
合流す ....
エス・ピー・オー・ツー
85・86・85・84・・・

分かっていた
{ルビ他人前=ひとまえ}では我慢してたこと

だけど
私達の前では子供みたいにワガママになって

うん
あなた ....
真夜中のいたずら電話

死ぬほど嬉しかった

たった今 僕は

孤独から解放されたのだから
悩んだときは
ブラッドオレンジに染まる
マンションの給水塔の上に立ち

三百六十度 この街の大パノラマを この眼で捉え
瞳を閉じて シャッター音を鳴らす

沢山のネガが出たら 
その上 ....
汗が光ったのを察知して
君は一生懸命 左手で扇いでくれる

クエン酸の入ったドリンクを一気に流しこむ
その立ち姿を横目に

また夏が来たネ!と
笑いながらハンカチを渡す 麦わら帽の君
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる 
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす

ありえない色
塗り替えられた あの土地 ....
今日に限って 折傘忘れてスコール
タバコ屋の小さな軒先で身を寄せながら
雨粒を指で拾い 掌で{ルビ弄=もてあそ}んだ

店奥のシャイな婆さんは
アガリっぱなしの{ルビ緞帳=どんちょう}が下り ....
雪よりも白い糸が
どこまでも続く

途絶えぬ筆記体の線が
サインは何処までも

{ルビ終焉=おわり}を知らない
時々刻々のように流れていく

どんなに流れても
忘れない

君の ....
人の気持ちって なんだか変動相場制
高いときもあるし
低いときもある
だって生身の人間ですから

同じ自分なのに
昨日は低く見られ
今日は高く評価される
他人の気持ちも変動相 ....
燃え{ルビ滾=たぎ}る汽車が
青白い草原の海を駆け抜ける

焼き切れぬ想いを馳せた
米粒ほどの露の身を乗せ
今日も間引くことなく 汽車が走る

私達では この手で{ルビ掬=すく}えなく
 ....
吉岡ペペロさんのsubaru★さんおすすめリスト(90)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- subaru★自由詩12*11-12-18
十二月十二日の水- subaru★自由詩19*11-12-12
雪が降り始める頃- subaru★自由詩12*11-12-7
「ね」はあげたくない- subaru★自由詩14*11-12-5
マネキンの若い女- subaru★自由詩16*11-12-1
柊と人- subaru★自由詩17*11-11-27
- subaru★自由詩16*11-11-20
廃線- subaru★自由詩24*11-11-10
あすなろ- subaru★自由詩22*11-10-31
返答- subaru★自由詩20*11-10-20
虚像- subaru★自由詩18*11-10-14
いつもの・・・- subaru★自由詩11*11-10-11
可能性- subaru★自由詩15*11-10-1
秋めいて- subaru★自由詩15*11-9-26
やさしさ- subaru★短歌12*11-9-24
はざま- subaru★自由詩22*11-9-13
ようこそ、バードランドへ- subaru★自由詩12*11-9-9
秋物- subaru★川柳6*11-9-7
夏芝居- subaru★自由詩8*11-8-26
夏影- subaru★自由詩4*11-8-26
黒夜を作る- subaru★自由詩11*11-8-24
共有- subaru★自由詩14+*11-8-17
いたずら電話- subaru★自由詩18*11-8-12
ブラッドオレンジに染まるマンションの給水塔の上で- subaru★自由詩16*11-8-8
真夏- subaru★自由詩14*11-8-1
稲わらの火- subaru★自由詩17*11-7-28
スコール- subaru★自由詩16*11-7-22
小石丸- subaru★自由詩11*11-7-17
変動相場制- subaru★自由詩13*11-7-15
火の国へ- subaru★自由詩16*11-7-11

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