ときどき、別れを告げそうになる
あまりに離れた歳の差、自分の現在、過去を考えると
君には僕のすべてを、本当の姿を見せていない
もしそれを話したらすぐにも別れなければならない
たとえ君が寛容 ....
その日はとても寒かった
少し前に降った雪が残る
ある日の日曜日
働きづめの自分にとって
朝から寝ていたかった
そんなことをおかまいなしに
父は車を出せと
何やら急いでいるようだった
....
一夜限りの戯れでも
君の手が{ルビ私=わたくし}の乳房に触れた時
蜻蛉、来たりて
今、この恋は{ルビ私=わたくし}の精神から羽ばたいて
現実のものとなりませう
くれないの紅を塗り終えて
....
都会の片隅で小さな太陽がふんわりしている
誰にも気づかれないようにそうっと触ってみる
やさしさが広がっていく
なかなか歩かなかった
かいちゃんが
とうとう歩き始めた
まだよちよちだけど
少しずつ歩く距離ものびて
もう少し歩くのが上手になったら
まあたらしいくつをはいて
お外をいっしょに散 ....
天球の下で深呼吸した
魂と宇宙とが繋がった
身体の震えが止まらない
精神が歌うこの世界の歌
この限られた世界の歌
月の光に照らされて
足元に広がるこの世界の歌
胸元が温かい僕という人間の ....
魚が泳ぎかたを忘れっちまったら
魚は魚でいられない
口をとざして貝になる?
棘で身をかためて
ウニになっちまった奴もいる
泳ぎかたを思い出 ....
ほろ苦い恋の香りに酔いしれる
今夜限りの甘い夢だけは
うにょん
君が言う。
うにょん
好きだ。
声が良い。 音が良い。
うにょん
幸せな気持ちになる。
うにょん
いろはに こんぺいとう
....
ただ
ただひろいだけの夜空を充血する程に
まなこを凝らしたら
はしっこの辺りに裂け目がうまれ
乳白色の貴方を呼んだのは紛れもなく私です
その仄かに薫る鎖骨は
芳しき母のようであり
ミ ....
「太陽を見たことがない。」
きみはそう言って、
ぼくは太陽の話をした。
きみはそれだけじゃ満足しなくって、
だからぼくは旅をして、
色んな太陽を見て回ってる。 ....
使い古された男のそれのような
亀頭をそっと覗かせて
疑心暗鬼に世を憂う
お前が生きて最早万年
そろそろ敵も絶えた頃
お前の甲羅も外したらどうだ
重かろうに
窮屈だろうに
....
冬
中心と空洞
球面と化石
向かいあえない
水の砦
しあわせ
ふしあわせに触れずに
消えるしあわせ
夜の道をはばたく
濡れた鉄の火
曇りの地図が
晴れ ....
抽象的な月が照らす暁
足元の地面に這う虫のように
この世界の隅っこで
ちょこまかと迷ったり
始終、立ち止まったりしている
小さな人生の主人公
つまり俺が
感じ ....
寝つけない夜が続いて月は満ち私もそっと丸まっている
すべり落ちてくる嘘の流星
隙をみせたら舐め尽くされる
枕元まで行進する藁をも掴む世代
神経は擦り減り
悪魔がゲームしている
深い闇が行き場を遮る
常に圧力のかかる後頭部
....
小さな小さなガラス玉
空に向かって眺めたら
白い雲が動いてる
自由に鳥が飛んでいる
小さな小さなガラス玉
海に向かって眺めたら
白い波が動いてる
自由に魚が泳いでる
小さな小さ ....
夜は海
街も時間も
何もかも飲み込んでしまう
私の体も海の底
静かに息をしている
夜空の星たちは海に沈んだ金貨
海賊たちに盗まれぬよう
あんなに高いところにある
ああ もうすぐ夜明けだ ....
歳を経るごとに
父は粗野になる
私の知っている父は
情けないほどに
やさしく
臆病であり
世間が
とても狭い世界が
気になって仕方がなくて
私はそんな父を見て
半ばあき ....
満たされた月が
静まる夜に息をかけ
澄みわたる気配は
、まるで水の中
地に影おく木々の枝先は
水草のように揺らめきたって
浮かびあがる山の稜線で
青さを図る
私は膝をかかえ
天を ....
あたしのスカートの
端っこを切ったのは あなたでしょう?
羽をばたばたさせて 空に浮かぶ
髪が伸びたので あたしは飛べるようになった
まっさらな夜を
あなたの匂いをたよりに飛んで
....
夜中にふっと目が覚めた
カーテンの隙間から
下弦の月が顔を覗かせている
凍てついた夜の空気を
肌で感じながら
僕は満たされることのない想いの数々を
胸の片隅からそっ ....
草の葉を噛みながら進んだ
狡猾な蟐蛾の三日月の下
浸潤する夜の裳裾とたわむれ
潮風に臭気をさらして干乾びる
蛇行する隘路の果てには
屠られた白き幽愁
高波に洗われるト ....
ななさいのたんじょう日
なないろのクレヨンをもらったの
みずいろで
そらに風をかいたのに
ちっとも みえなくて
しろい雲は
ながされるばかりで
かいても かいても
きりがなかっ ....