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いつからか、記憶が上書きされにくくなった。
あれは去年の夏か、一昨年の夏か、動機は覚えている。楽しかったことも。出来事も。
初めての行為は、いつも、楽しい。初めての出会いも。初めての場所も ....
いつか
遠い昔の夜
暗い海の
浮かぶ月に例えてくれた
何も残さない
わたしの体を抱いて
その透明なまぶたでは
すべてが見えてしまうね と
力なくゆだねる
その体は
いつか
水にな ....
夏はいつも消化されない、花、を、まとい、非常階段、の、やさしい螺旋のような、身体を締め付けるいくつかのものを、ていねい、に、緩め解きながら、ささやきは枯れながらもつづく。
これは出口なのか
....
ぽつぽつと飛び交う
耳障りな羽音
乾き損ねたコールタールに
再び水を打つ
門をくぐれば
生臭い土の香り
産まれ朽ち
吸い上げられる
老いた桜の木は切られ
残った切り株から
....
しがないの
皮膚のうちがわでピシーパシーと速球と直球が電気信号みたいにせわしくて
私はなんだか むずむずと空っぽになる
夜な夜な
世界のはてを切実に望んでいるのだけれど
胸を張って言えな ....