すべてのおすすめ
アスファルトの照り返しは穏やかではない
24号線沿いのひび割れた歩道を蹴って
いつまでも変わらない信号を見上げる
太陽がもうひとつ増えた気がした
雨と晴れの境目を見つけた少年時代の君を
....
夕月は君が
先に見つけた
でも
明日雪が降ることは
きっと教えてあげない
*
君のいちばんのねがいを
たぶん私は知っている
でも
君のいちばんの ....
くしゃみをひとつする、と
私たちは地球儀から滑落して空に溺れる
あの日グラウンドから送った影は
手をつないだまま鉄塔に引っかかっていて
捨てられたビニールのレインコートのようだった
バス ....
風になり、花になり
ずっとそばで―――
今日は街に雪が積もって
めったにないことだとニュースでも騒いでいました
わたしはそのことが少しばかり怖くて
あなたの手を握ったのです
やわらかく ....
桔梗のむらさきを聴く、と
夜の二歩手前が
どこまでもやわらかな鎖で
約束と小指を繋ぐ
硝子の鉢に浮かんで
むらさきは、鳴る
秋ですね と
ただそれだけを告げるために
桔 ....
夏が、また―――
怖いですか
あのひとの抜け殻だから
まひるの世界はあまりにも眩しく
夜の世界は、私には暗すぎる
いつからか
瞳が捉える色彩は
こんな風にゆるぎはじめて
....
たずねびと。わたしはここで生きてます あの日のあだ名で検索してよ
君に似たプロフ見つけて手を止める。こころにあしあと残したかった
友人と呼べぬあのこも「友人」と呼ぶしか ....
「観月橋」
せせらぎの音は
いつのまにか、ざあざあと鳴り
錆び付いた欄干が
しとどに濡れる紫陽花の、夜
ここには愛づる月もなく
ただ名ばかりの橋が
通わぬこころの代わりに、と ....
ひとつの恋の終わりは、
ひとつの音楽とひとつの香りを残す―――
いつだったか
すれ違った文庫本の帯が
そう主張していた
乾かないルーズソックスの ....
尽きそうで
尽きそうで
時に思い出したように
夜を縫う
置き去りの夏に迷う
この心のように
かくも小さく
かくも短き生命の振動が
この手に伝わります
見失う日々を
辿れ ....
昨日は切なさを
今日は愛おしさを
明後日は狂おしさを
一枚
また一枚
引き剥いだ心から溢れ出る
あかい
あかい溶液は
あなたの眺める空を
あなたの愛でる花を
染めぬいてくれるでしょ ....