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海からやってきたその風は
夏を通り抜けてゆく
海辺の松林をさっと過ぎ
細い坂道を力強く上ってゆく
木造立ての駅が見える
自動販売機で飲み物を買う人に
あいさつをする
言葉は出せないけれど ....
酸素は息苦しくなった
どうも心地よく自分が循環していない
もともと組織とか社会というものに
馴染めるような体質ではなかった
求められるものに求められる分だけ
与えているだけで十分だった
そ ....
初夏の光が交差する
花と蝶とが見つめあい
互いを助け
互いの生を大きくさせる

初夏の光が交差する
空と海とが向かいあい
互いを求め
互いの存在を尊ぶ

初夏の光が交差する
人と ....
静かな静かな夕暮れに
光の翼が舞い降りる
晴れた日の夕暮れにしか
現れないその翼は
大きなビルをいくつも
すっぽりと翼の中に入れてゆく
やがて翼は
だんだん小さくなってゆき
夜の中へと ....
大きな葉の下から
そっと空を見上げると
とても薄い緑色が輝いている
そろそろ夏が生まれる
風が吹くと
きららとした緑色は
暗くなるけれど
遠くで流れている川の水のように
他の場所で光り ....
最初に雨を見たのは
ぼくだった

みんなはそのとき知らなかった
窓に一筋の雫が流れて
静かに落ちていったのを
最初に雨を見たのは
ぼくだった

風はなかったのかもしれない
ただ水が ....
あの空の中に
昔見た雲が浮かんでいた
子どもの頃に
みんなと一緒に見た雲
一人一人が雲を見て
いろいろな形を言いあった
それはそれぞれの夢だった
飛行機や船
イチゴとかカブトムシ
み ....
その夢は終着駅から始まる
分厚い切符を駅員に渡し
改札を出ると
そこから終わりのない物語の
第一章がある
駅前広場から
右の道を上れば山があり
左の道を下れば海に着く
今は左の道に菜の ....
春の海はやわらかい
海と空との
地平線は線ではなく
ぼんやりとしている

春の空はやさしい
山と空との
地平線は線ではなく
崩れた帯のよう

近くで波の音がする
何度も繰り返すも ....
春を作ろう
土しかない心の中に
春を作ろう

伸び始めた草を
小枝の先に開き始めた葉を
かわいい小さな花を
入れてみよう
ほら
もう蝶が飛んでいる

春を作ろう
土しかない心の ....
木の葉が開き始める頃
言葉も広がり始めます
光が当たるように
大きく伸びてゆきます
そっと行ってごらん
風が葉を揺らし
言葉が鳴っています

木の葉が開き始める頃
心も広がり始めます ....
空が咲いています
ふわふわ咲いています
何もかも時が止まったように
やわらかく咲いています
山が沈んでいます
その中を鳥が泳いでいます
人が逆さまになって
咲いている空を見ながら
手を ....
言葉には翼があるのです
人の心の中を翔け抜けてゆく
翼をもっているのです
言葉によって
その飛び方もまちまちで
小鳥のように
翼をせわしく羽ばたかせるもの
大きな鳥のように
空高く翼を ....
春は白浜の波の音がする
いろいろなことを思い
浮かんだと思えば波にさらわれ
刻んだと思えば波に消される
その度に波の音が聞こえてくる
ゆっくりと薄く
浜に広がる白い泡が
繰り返される
 ....
人はみな誰でも
いつも夢を抱えている
その夢が見えなくなった時
空を見上げれば
忘れた夢が浮かんでいる

何でもなかった白い雲が
何かの形に見えるでしょう

人はみな誰でも
いつも ....
春が吹いてくる
強い風だ
今は春だぞと
言っているようだ
どこまで吹いてゆくのだろう
林が揺れている
鳥はどこにいるのだろう
蝶はどこにも見当たらない
春の声が大きすぎて
みんな黙り ....
あなたは今
風の色が見えますか
春の風の色は
すぐに変わってしまいます
でもいつもどこか光っています
ほら
白い花が光っている
青い空がつやつやしている
また色が変わっています
あな ....
ぼんやりとした光が
畑を一面に降り注いでいます
真っ赤な郵便局のバイクが
畑の中を通り過ぎて行きます
なんだか春らしい
道の草が風で揺れています

ゆるやかに道が曲がっています
雀が私 ....
君の手は空には届かない
当たり前だけど

けれども最初から
そう思っていたら
君は何もしない人になる
無理だとわかっていても
やってみるのもいいものだよ
ああやっぱりダメだったね
そ ....
貧困の世界で
動物は
飢えに苦しみ
その命が危機になった時
親が何匹かの子を
食べてしまうことがあるという
それは厳しい環境の中で
家族というものを守る親の
最後に選ぶ道なのかもしれな ....
その子にとっての最初の事実は
人の死だった
自分が誰かに抱えられたまま
その体がだんだん冷たくなってゆく中で
生温かいものが頭から流れてきた
それが血であることは後で知った
そしてその人が ....
山奥の一軒の家のために
立てられた電柱は
その家に誰も住まなくなってからも
一人で立っていた
電線はつながっていたが
電気が流れることはもう期待できない

電柱は昔を思い出した
まだそ ....
雨上がりの食パンは
暗い部屋の中で
その白さが大きく目立つ
外が明るくなるよりも
少しだけ早く
明るさの存在を示してくれる
そのやわらかさを見ていると
午後はどこに出かけようかと
なん ....
乾電池は夢を見ていた
水の上をぷかぷかと
浮きながら流れてゆく夢だった
ただ水の力だけで動くことが
不思議に思った
乾電池にとって
何かを動かすには
電気しかないと思っていた
夢の中で ....
今まで空だったところに
建物がどんどんつくられて
空が狭くなってゆく
青くてやわらかい空が
暗くてかたいものに
覆われてゆく
辛いときに空を見上げても
もっと悲しくなるだけで
この弱さ ....
この動物だけは奇妙だ

自分がエサを探しに草原を走っていると
逆にこの動物に捕まってしまった
さすがにその時は命の終わりを
すっかり覚悟した
だがこの動物はなかなか自分を
食べようとはし ....
時計は歌いたくなった
毎日あまりにも同じリズムなので
いつもとは違う
もっと波打つような
そんなメロディーを求めた
いろいろな楽譜を見ながら
自分に似合う曲を選び始めた
秒を刻む歌よりも ....
月が影に隠れる頃
桜は涙を流します
はらはらと落ちてゆく
一粒一粒の涙は
地面に落ちて
道に溢れてゆきます
桜の涙はやがて川となり
月を追いかけて
どこかへ消えてゆきます
きっと春の ....
昨日の未来は
今日はまったくなかった
あれだけはっきりと
見えていたはずだった
昨日の未来は
初めから存在していないかのように
今日には現れなかった
その代わり
今日の未来が創り出され ....
あっ、春が飛んだ
今、飛んだ
すぅと、まっすぐに
春が飛んだ
とてもうれしそうだ

おや、あっちでは
春が跳ねている
清らな音で跳ねている
春のリズムで
なんだか楽しそうだ

 ....
はじめさんのぽえむ君さんおすすめリスト(189)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
初夏を通り抜ける風- ぽえむ君自由詩9*07-5-5
貧血の酸素- ぽえむ君自由詩4*07-5-4
初夏の光が交差する- ぽえむ君自由詩9*07-5-3
光の翼が舞い降りる- ぽえむ君自由詩6*07-5-2
夏が生まれる- ぽえむ君自由詩28*07-5-2
最初に雨を見た- ぽえむ君自由詩14*07-5-1
あの空の中に- ぽえむ君自由詩6*07-4-30
その夢は終着駅から始まる- ぽえむ君自由詩7*07-4-29
少しずつ夏- ぽえむ君自由詩21*07-4-29
春を作ろう- ぽえむ君自由詩7*07-4-28
言葉が鳴っています- ぽえむ君自由詩8*07-4-27
空が咲いています- ぽえむ君自由詩10*07-4-26
言葉の翼- ぽえむ君自由詩11*07-4-25
春は白浜の波の音がする- ぽえむ君自由詩6*07-4-24
人はみな誰でも- ぽえむ君自由詩13*07-4-23
大きな春の声- ぽえむ君自由詩10*07-4-22
風の色が見えますか- ぽえむ君自由詩8*07-4-22
なんだか春らしい- ぽえむ君自由詩12*07-4-21
君の手は空には届かない- ぽえむ君自由詩14*07-4-20
親が子どもを食べる時- ぽえむ君自由詩1*07-4-20
その子にとっての最初の- ぽえむ君自由詩6*07-4-18
一人ぼっちの電柱- ぽえむ君自由詩18*07-4-18
雨上がりの食パン- ぽえむ君自由詩5*07-4-17
乾電池が見た夢- ぽえむ君自由詩12*07-4-16
空が消えてゆく- ぽえむ君自由詩14*07-4-16
奇妙な動物- ぽえむ君自由詩8*07-4-15
歌う時計- ぽえむ君自由詩14*07-4-15
桜の涙- ぽえむ君自由詩9*07-4-14
未来たちは- ぽえむ君自由詩4*07-4-14
春が飛んだ- ぽえむ君自由詩11*07-4-13

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