非常口開けて眩しき春日かな
うちのプロジェクトチームは
大きな案件が成功裏に終わると
決まって欧陽菲菲を食べに行く
でも、どこの店の
欧陽菲菲でもいいわけじゃない
僕たちがご贔屓にしているのは
赤坂の有名中華料理 ....
まいあさ 鏡を割り
若くして わたしが
老いた まさにその日を
しのぶ よすがに
花鳥に 水をやる
終列車警笛響く春の雨。
おまえの乳房の形をたどって
月が闇に向かって死んでゆくぜ
ほら
見上げなよ
あんなにも
雲と星屑に讃えられて
死んで
このふしだらな世界からいなくなっちまうなら
....
寝惚けつつ殺されるために服を着る
世界とサヨナラ永訣の朝
魚は
夜に鳴く
なくした
ラッパを思って
+
砂糖瓶を
よく洗って石段に
並べていくと橋を渡る
来客があった
+
探し物の
予定のない日
菜の花畑で一人
ラジ ....
さっきからわけもなく
ティースプーンで
カップの中をかき混ぜてしまう
テーブルをはさんで
向き合うアナタの輪郭がぼやける
沈黙が岩のように押さえつけるから
うつむくしかなくて
あざ笑 ....
考えるなといっても
考えるのやめない
飛べないと言われても
そんなの信じない
誰も教えてくれんから
ひとりで考える
歩きでガマンしろなんて
言われても聞かん
いつか空を飛ぶ
....
水色の石けんの香りがした
炭酸水の底で
一瞬にしてはじける
小さな苦痛
はじけて溶けて
はじけて溶けて
水色の石けんの香りがした
消えるということ
研ぎすまされた感 ....
盆梅や骸の幹に紅が寄り
八角形の小箱は
ブルーウォーターで満ちていて
覗き込めば
ぶちの鞠が回転している
それは
滑らかな哺乳類の群れだ
あるいは
みるく色の
貝類の
ひとかたまりに
溶けて
....
今年初の雪よ
わた雪よ
なぐさめてくれるのか
この下がらぬ熱を
冷まそうとしてくれているのか
今年初の雪よ
わた雪よ
....
先生、誰も来ない放課後です
理科室は薬品の匂い
閉められた
暗幕の心地良い温度
埃が泳いでいきます
気だるい午後です、先生
魚になるにはどうしたらいいですか
答えの出ない ....
手拍子で迎えましょうぞ散りいくさ恋にやぶれて淵になりたい
死にたいの死にたくないけど死にたいの死んだふりして腹式呼吸
あなたはねリネンにただよう海月なのわたしの四肢をあ ....
静かに熱は冷めて
手足に気だるさを感じたのは
不幸とは違います
軽やかで楽しい日々にも
然るべき力が費やされていて
そのままで走る事なんて君にはできない
高低を全てと思うのは
正 ....
歌い慣れた唄を口づさみながら
家路につく
いつもの通りの
ごみ捨て場のごみの上
猫が2匹お喋りをしていた
{引用=何かご馳走はあったかい?
いやいや、たいしたものはありゃし ....
かえりみち転んだら
夢が転げ落ちて、
下り坂を走り出す
過ぎ行く時に
流されないように
小さいころの夢、
つぶやきながら
闇の中 必死で
転がる夢を追いかける
夢、
追いか ....
{引用=
多重の自我の
小箱たち
幾重にも
蓋われた 郷愁
霧雨の中で
冷たく濡れていた
かなしみも
木枯らしの中
いくつもに分裂しながら
泣き叫ん ....
(行方不明になる少し前の光景)
そう、いつか南風に
わたしの髪がながされて
地平線の水色に
例えば(紅い花を)
あるいは羊雲の群れに
かすかな共和国のひびきを感じたとき
わたしの名前 ....
あめのなかに
ゆきのまじる
ぶーげんびりあの
かねのねの
音のあまつぶ
しらゆきまじる
むすめはやらない
むすめはやらない
{引用=三つで病に
五つで迷子 ....
誤解していた
満たされたはずの 海が
遠くひいていくような
それは
あなたの意味が乾いていく
雑踏の中で
あるいは
読みかけの本
ぱたんと 閉じて
私の中にある
....
煙草の味は解らないけど身体に悪い事だけは解った
苦味が口の中一杯に広がって煙を宙に逃がす
白煙が黙々と昇って何処かで消えた
社会人になり失くした物は数え切れない
時間の配分や金銭感覚 ....
海と繋がっている
照り照りとした
小さなオパールをつまんだとき
海水の温度のようだった
人いきれにむせる空気の中で
そう感じたのは
単なる錯覚ではなく
この生命の何処かで
潮の ....
落ちる雲
水に映えて
静かに踊る
非人称の君
一人もどって
も一度誰も
連れずに駆ける
非人称の君
鉛の地図においでおいで
磁石を飲み ....
編集担当のデスクに、どんどん山が出来ていく
原稿、取材メモ、伝言、領収書、手紙、新聞
未読書類、読んだけど理解できない資料
カロリーメイト、ネクタイ、靴下かたっぽ
煙草のヤニとコーヒーによって ....
トニーはテストの最中にたった一本の鉛筆を落としてしまった
音の大きさに比して精神的な衝撃は相当なもので
クラス全員の視線がトニーに集まった
鉛筆はケレケレケレとどこまでも転がって行く
軍事国境 ....
古代ケルト紋様を研究している
美しい大学教授は
海草の匂いのウイスケに酔い
アイルランドの
月を探しに出かけていった
昔は料亭だったという
太い梁のある店の灯りが
夜に浮かび
精霊 ....
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