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終わらない海を想像して
約束という言葉をちぎっては流す
冬が終わったら会いに行くから
そんな約束を果たせないまま
もう季節は夏になろうとしているので
出せなかった手紙は紙飛行機にして
非常 ....
君は
言葉を見たか
路地裏の突き当たりの
饐えた臭いのする真っ暗闇の中から
ゆっくりと立ち上がる言葉を見たか
君は
言葉を見たか
見知らぬ星座の片隅に
燦然と輝く小 ....
スローモーションで放たれる
微細なスプレーのように
思念の粒子を空中に固定して
一粒づつていねいに色を投射してゆく
集中力を切らさないように
点と面のそれぞれに
力を加えるバランスを意識し ....
きみには哲学がない
思想も理想もない
あるのは希望だけ
ボウルいっぱいのシリアルに
冷たいミルクを注いで
シルバーのスプーンで掬い上げる
きみの未来は
とても清潔でひんやりとして ....
胸騒ぎがするので
メリークリスマスと
小さな声でつぶやいてみた
すると
それが合図だったかのように
リンゴが枝から落ちる
落ちたら
すぐに
腐ってしまう
それはいつものこと
....
朝の
アスファルトの冷たさの上に
巣から落ちた小鳥が震えている
拾い上げて
掌の中で
戸惑う様を見つめる
鳥が
一羽の鳥が
号泣しながら
地平線の向こうに飛んでゆく
....
やりきれない憂鬱に
身体ごと飲み込まれそうなときは
とにかくバナナを食べる
何も考えずに食べる
午後のダイニングテーブルの上に
少し茶色く変色したバナナの皮が
脱ぎ捨てられた下着みたい ....