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布のむこうから近づく光
同じかたちの虹に割れ
いつか集まり 一羽の蛾となり
風の重さを聴いている
葉と花の舟
水の上の いくつもの空
花ひらく音 ほどく音
ひとつひと ....
曇を知らずに
ついばむかたち
花のかたち
あこがれ
うしろめたさ
午後の砂の輪
置き去られた目の幾つかが
むずがゆくからだにひらいても
窓を見つめることがで ....
曲がり角ごとに鳥はいて
夜を夜をとまたたいている
青紫の窓がふたつ
甘い手管にひらかれてゆく
うすぐもり
なりひびき
皆なにかを
抱きしめるかたち
昇るもの ....
片目をつむり
寒くなり
あたりの粉が
見えてくるとき
こだま
いたわり
うつわ
さかさま
ひとつの穂の手に
ふりそそぐとき
ほどかれつづける水の ....
光を削り描いた花が
手のひらにふたつ影を落とす
鳥の花 音の花
ついばみにくるくちびるの花
砂の花 砂の花
影を持ち去る波の花
手のひらを知らない
問いの残り香
....
木々のはざまに見える鉄から
遠のくことのない冬の星から
ひとりはひとりを指さしながら
凍るように降りてくる
潮騒に似た
生きものの音があり
坂の途中にかがやき
のぼる ....
燃える草の原のむこうで
夜は息をしつづけていた
生まれる前のものが羽に包まれ
夜とともに揺らいでいた
かがやきのない星が穴のように在り
風と煙と火の柱を
吸い尽くすように吸いつ ....