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水暗きなかに閃光突き刺さるまじわる場所は色彩なき場所
青春の色彩すでに忘れたり鳥飛び立てる後の静けさ
掌にあまる白桃まだ知らぬ空の色彩抱きて帰らむ
車窓がくもって何者かが問いかける
移民の悲しみ似た淡くはかないものだ
いくつかの希望を抱いて死んでいった
若者の中の一つの宇宙だ
車窓がくもって見えていたものが歪む
ひときれのパンに空い ....
夏蝶が越ゆる沼にて逢ふものなし意思なきわれの明日浮かぶのみ
青胡桃にぎって家に帰る道街灯の影を父と信じて
夏空の鎮魂終わらず煙草火を擦り消し煙空に広がる
バケツを持って浜辺に向かい
バケツでそっと盗み出す
目の前に広がる海を
バケツでそっと盗み出す
頭上に浮かんだ夕焼けも
バケツでそっと盗み出す
帰り道の一面の青麦も
バケツでそっと盗み出 ....
メーデー歌泥つく靴で地をならし
いもうとの髪梳く夜や沈丁花
手の平に青空統べて修司の忌
開け放たれた窓から
夜風がカーテンを揺らし
月の光がこぼれだす
少女の眠れぬ夜はするどく
闇の中へと切りこんでいく
少女がひとさし指で
空をなぞるように
星の数をかぞえている
....
巴里の色を僕はしらない
おばあちゃんは
それは淡い青い色だと言った
夜が乾いていく
するとセーヌ川がたちまち
空に吸いこまれていくのだそうだ
巴里の音を僕はしらない
おばあちゃんは
....
少年は手にもっている一つの林檎を空に向かって投げる
するとそれは翼を拡げる鳥になった
少年は青い空が好きだった
空の中は永遠に汚れぬ世界であると信じていた
少年はどこまでも途切れぬ煙突 ....
鏡台を売るとき若き母うつり秋風にわが身を虐げる
怒りなる林檎投げつけ少年はジャーナリズムの正義疑ふ
叔父いつも偽善者ならむと決めつけて蒲公英踏みつけ青空仰ぐ