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はじまりは一本の大きな幹でした
その幹がどんなに大きくたって
みんなみんなその場所にいたから
誰かが声を発すれば
その声は確実な伝言ゲームで
紛うことなく誰かのもとに届けられました
や ....
レイン
あのとき足音にかき消され
君の言葉が聞こえなかった
雨が降る
自由が再び吸い込まれていく
星が湿度を復元する
束の間の動作
長旅を終え
地面に歪んでは消える ....
ただの生活の中を
ただの生活だなんて言って
大して感動もせずにフラフラ生きてたら
ときどき前方不注意で
誰かの真摯な想いの背中にどしんとぶつかることがある
いい加減見かねた神様にマジビンタを ....
遠くの雲が寄ってくる
僕はそいつに親しみを覚える
心の中の気まぐれな破天荒は
あの雲のように
高くなったり
低くなったり
見えなくなったり
目を細め、濃淡の薄まった視界の中で ....
粉を炊く
白地の布を展開する
酩酊による寒け
ナイロンを取り除く
世界を開いて
中身を注ぐ
錆び付いた綱
哀れな焔
あなたの身に余る幸福の
余った部分をください
....
それぞれには帰りたい場所というものがあった
所属欲だ
僕と君は何故か駅で別れた
君は東京へ向かった
東京とは、夢の中に出てくる場所、のイデアを
指す、幻の国の名、ではないのかと
僕は呟く
....
ただ、空ばかりが暗い
照明ばかりが明るい
そこだけ白くて
他は黒い
朝、目を覚ますたびに泣いた、と君は言った
僕はその言葉を重んじてうなずいた
....
僕はデスクのパソコンで暇な時間割をつくっている、らしい
僕がこの暇な時間割をつくることによって
会社の誰か(例えばそこの古いプリンターの向こうに霞んで見える上司、とか)がいくらか満足し
会社 ....
あなたの住むマンションまでやってきた
あなたに食べてもらおうと思って焼いたクッキーは
人生で初めて焼いたクッキーは
思う以上に手間取り
夜になってしまった
マンションはほとんど街のは ....