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真夏に日車は、咲いている
雷鳴の空を裂く。
轟音で目を覚ます
一輪車に稲光りが青白く反射する
一瞬で葉陰の殻は黒焦げになり
焼けた臭いに鼻をひる
傘の骨はしろがね色で
{ルビ死灰 ....
今年も裏のおばあちゃんが
墓参りに来てくれた
深いしわの刻まれた
掌を合わせて無言で立つ
墓前は静かな自然であった
先日おばあちゃんは
墓を綺麗にしていった
まわりの草も ....
青い血で書かれた水曜性は、
{ルビ万年青=おもと}の実となって赤く結ばれる。
ある、いは、いつになく遠く静かな空で、ある。
店員が しきりにすすめてくる
玄関先に どうかしら
と自分に問 ....
うちわをあおぐ
私は
縁側で
入道雲を{ルビ見遣=みや}る
庭では生垣が
真っ青な息をしている
深い静けさに みちて
遠くで ひもす鳥が ないている
山の ふもとを流れ ....
遠い視線につらぬかれた夢のゆらぎに
ことりのさえずるこもれ日がそよぐ
おおきなまなこの
星夜のような瞳が
瞬きはせずに
宙をみつめている
しろい肌には
翼がしずかに舞いおりていた
....