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朝口の犬とのサンポ日課とし
夫征きてより一年過ぎし
自転車の前に乗りたる幼な子が
大きく欠伸す 夕の街に

風吹けば木の鳴る音に幼子は
遊びをやめて空ふり仰ぐ

雪景色見ゆるようにと干物を
片寄せ午後のお茶のひととき

身辺を整理すと ....
春兆す空を二つに分けるごと
飛行機雲は青き陽の中

入院の友に送られ外に出る
日照雨の空に冬の虹たつ

京都には冬が似合ふと初雪に
神戸の人は寒さも加ふる

子等達が どんぐり寄せて ....
草市に うみほほづきを購いて
海の味する遠き幼日

朝ごとにくぐもり啼ける鳩の声
故里に啼く森を想えり

西陽射す路に日課の水をまく
秋めきし風に虹たてながら

白白と待宵月は行き来 ....
夜を覚めて雨音に肌の潤えり
冬の旱に満ちて心良し

霜などは年中知らぬと紀州路は
オランダ豌豆 冬花盛り

サルビヤの花立ち枯れて残る紅
紀州路を行く旅の実感

それぞれに旗を揚 ....
峡の宿に熱き甘酒すすりつつ
硝子戸ゆすり風移りゆく

屈託のなき表情に寄りてくる
見知らぬ土地に犬の親しもよ

海過ぎて つづらの道にバスは入る
枯れし芒も見る度の味

枯れ落葉 ....
ブルドーザー河川工事に爪上げて
アワダチ草を踏みしだきゆく

谷わたる霧のさざ波見て過ぐる
炎ゆるが程の紅葉なかりし

皮はがれ磨がかれし肌のつややかさ
杉の匂いの立ちこむる里

杉 ....
山の端に今昇りくる太陽に
向いて鳶は羽ばたきにけり
芝草の緑一雨ごとに伸び
犬と行く道 青く広がる

街路樹の高き梢に銀杏の
黄金に熟して風をはらめり

玉葱を吊して土用の暑にこもる
風吹くらしき つるバラゆるる

純白の酔芙蓉咲 ....
洗剤より生れしシャボン玉の遊泳を
掬えば窓に にげる虹色

シャボン玉掬はむ姿勢 すかされて
運動神経 鈍る年かと

俄か雨に荷物ぬらして声もなく
ちり紙交換 信号に止まる

 ....
草あかり部屋の中までたちてくる盛りゆく
飯も腕も染まれり
       (嵯峨花の家)

行きあたる程に飛び交ふ黒き蝶
幻想めきし庭に立ちたり
          (嵯峨花の家)

 ....
長雨の晴れておちこち競ふごと干し物
ひらめく冬空の下

おしどりが小さき雨の波紋消し
みどりに染みし池をめぐれる
            (苔寺にて)

花冷えの椿の寺はひっそりと五色の ....
めまぐるしく排ガスの数字変わるなか
河原町の信号渡る

老い母の如何にと受話器に声を聞く
会いたくなりて声とぎれつつ

赤ちゃんの取り替へ事件見ておりし
背丈伸びし子が眞違を問いぬ
 ....
今朝ほどの言ひすぎし事悔い乍ら
帰りくる子のおそしとぞ待つ

帰り来し子の淡淡と語りかく
明るき声に救われしなり

屑かごのプラスチックは音たてて
生きもののさまに動きを見する

も ....
手の上にカプセルの薬あそばせて
次ぎ編む服の配色と決む

夢に見しことくり返し夫語る子等は
留守にて話題ひとこま

硝子戸に写る雪影大きくて二人の夜が
童話めきくる

首すじ ....
石なげて しばししてより音のする
ダムの高さに心おののく

静かなる師走のダムに労務者の
網引ける声 四方にこだます

つぶらなる茨の赤き実の陰に
するどきトゲが短陽に透く

 ....
井戸掘の職人たちは泥つけし
顔そのままにしばし仮眠す

階下にて九州土産の風鈴が
台風予報の風に音たつ

名月に逢ふひとときを足らひゐて
たゆたいがちに春間近かなり

【昭和四十八年 ....
里芋の葉に露玉を宿らせて
風も光りて土用に入る日

身体ごとゆるるが如き北山の
杉のみどりが視野に広がる

微熱ある夜を目覚むれば
枕辺に誰がつけくれしか蚊取香匂ふ

熱湯の ....
夫婦喧嘩仲裁は娘が引受けて
吹き出すはめとなる雛の前

初出勤明日に控へて幼児期の
日記を見せて娘と語り継ぐ

大雨のあとの賀茂川に流れ込む
廃液は濃き染め物の色

気まぐれ ....
ストーブの上に煮つまる匂いして
今宵は独り本に寄りゐる

支えゐる心重しと思ふ午後
陽ざしがいつか雪となりゐし

いやされし言葉を胸にあたためて
ショールに頬を埋めて帰る

 ....
驟雨きて あわてて上る物干に
後より夫も手助けにくる

クレーンにて運び込まれし銀杏の木
菰に巻かれて道に横たふ

北山は時雨るるらしく雲たれて
行く手に燕低く飛び交う
梅雨空の比叡の山に雲低く
梔子匂ふ川風吹きて

何やらむいぶかりて見し窓の外
夜に入りて降る雨しぶきなり

もの忘れひどき此の頃 娘が笑い
用多き故と言いわけをする
散歩より帰りし犬の足を拭く
吾が顔のぞき されるがままに

くちなしの{ルビ香=かおり}ただよう くりやべに
千日紅の赤が寄り添う
卓上の玉葱の芽は日日伸びて
七本の青き葱となりゆく
無花果が口あけ雨を受く姿勢
姑独り居の狭庭の隅に

家の建つ工事現場の土もらい
それぞれの鉢に土満たしてゆく

人よりもおくれて登る鞍馬寺
熊に注意と立札のあり

足弱き友に ....
バス降りて 草むら行けば足もとに
稲穂ゆるがし イナゴ飛び立つ

秋雨のやうやく上りし宵の月
ジャンケンをして大人賑やか

耳もとに娘がつぶやきぬ生え際の
薄くなりしと夫のことをば
 ....
冷房のつよきビルより出でてきて
鋪道の照りは肌にほどよし

寝袋を肩に出て行く子等のあと
逝く夏の風追いかけてゆく

留守宅の犬に餌やる三日目を
信頼しきる犬の目と合ふ

矢 ....
前髪の白きに毛染吹きつけて
女身愛しと笑われもする

蓑虫を二つぶらさげ鉢植の
さつきは強き夕立を受く

草の実を体に着けし犬と吾れは
川辺歩めり秋風の中

雑踏の中のマキシ ....
忘れ物思い出し歩を返し言う
独りごと人に聞かれし居しかも

凍る朝素足に草鞋の修行僧
声あげ行くに襟正したり

断絶と言わるる代に独り居の姑に
電話をすれば風邪ひき

家の建つ前 ....
猫の毛並誉めて帰りの客の背に
急に舞いきし小雪がかかる

じみな服着る吾れに娘が口紅を
つけよと はたに寄りきてぞ言ふ

すっきりとせざる胸うち雪となる
気配の空に雲低くたる

 ....
soft_machineさんのむさこさんおすすめリスト(49)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
平成十九年十二月十日- むさこ短歌2*07-12-10
67P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-10-21
66P_「短歌2」より- むさこ短歌8*07-10-19
54P_「短歌2」より- むさこ短歌12*07-8-12
46P_「短歌2」より- むさこ短歌7*07-7-27
45P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-7-27
44P_「短歌2」より_〜北山杉_etc- むさこ短歌6*07-7-26
いま一番好きな自分が作った歌- むさこ短歌10*07-7-25
42P_「短歌2」より- むさこ短歌9*07-7-24
41P_「短歌2」より- むさこ短歌10*07-7-24
40P_「短歌2」より_〜嵯峨花の家_etc- むさこ短歌8*07-7-22
39P_「短歌2」より__〜苔寺、椿寺_etc- むさこ短歌9*07-7-22
38P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-7-20
37P_「短歌2」より- むさこ短歌8*07-7-20
36P_「短歌2」より- むさこ短歌6*07-7-17
35P_「短歌2」より- むさこ短歌7*07-7-16
34P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-7-15
33P_「短歌2」より- むさこ短歌12*07-7-14
32P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-7-13
31P_「短歌2」より- むさこ短歌9*07-7-11
30P_「短歌2」より- むさこ短歌6*07-7-10
29P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-7-9
平成十九年七月六日_十八時八分- むさこ短歌9*07-7-8
平成十九年六月二十八日- むさこ短歌6*07-7-6
28P_「短歌2」より- むさこ短歌6*07-7-2
27P_「短歌2」より- むさこ短歌11*07-6-29
25P_「短歌2」より- むさこ短歌12*07-6-26
23P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-6-24
20P_「短歌2」より_昭和四十六年- むさこ短歌11*07-6-18
19P_「短歌2」より_昭和四十六年- むさこ短歌6*07-6-17

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