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夜行列車「能登号」車内
すでに電気が消えた
午前二時十五分
数えるほどの乗客は
皆 {ルビ頭=こうべ}を垂らし
それぞれの夢を見ている
一人旅に出た僕は眠れずに
開い ....
鳴らないインターホン
一人では広すぎる部屋
無意識のうちに閉ざした心
誰が扉を開いてくれるだろう
疑うことはとても簡単だ
小さな綻びを見つけだせばいい
厳重に施錠された鉄の ....
強くなりたい
恋なんてしなくても 愛してくれる人がいなくても
寂しいと思わないですむようにしよう
まどろみの中で
薄れてゆく意識と
わずかに残る自覚とが
交差する
微かな論理が
無我と溶け合い
何かが生まれ
何かが消えてゆく
夢と現が
メビウスの輪のように結ばれ
頭の中 ....
一歩外に出ると眩い光に照らされる
太陽の明るい日差し
おはようの声が響きあい
人々の笑顔に出逢う
通り過ぎる人々
一瞬の触れ合い
一期一会
....
きっと、知らない町なんだと思う
不器用に建ち並ぶ、高層マンションに隠れている
ありふれた日常だとか、錆付いたマンホールの下から
伝わってくる、救いようのない虚しさだとか
見慣れた信号の色と形で ....
わたしのようなものならば
独りの夜は 寂しさもまた友のようなものだ
しかし何の悪戯か酔狂か
時にはおもむろに紙とペンを取り
意を決し かの人に思いを綴る
酒や ....
きれいごとを
洗いおとして ものすごく
過剰な 現実を
お見せすることが
できるかも です
半ば追い出されるようにして
いつもの店を出たところまでは
なんとなく覚えているが
そこから先は暗転
気がつけば
白い病室のベッドの上にいて
ベッドの横の安っぽいパイプ椅子には
病人み ....
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