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南の島
僕の歩くあとに
蚊がポト・ポト・ポト・

線香の弔いつき

コ・・コ・・コ
島々を渡って

・カ・カ・カ・
そこでもまた

イマージュの
難民キャンプ

カミサマ ....
いけない見るな 時計を見るな
このあとなんか どうでもいい
今この時に 終わりが迫る

たのむ見るな
私の顔と時計の針を
気遣わしげに見比べるな
お前のその目を刺してやりたい
時計の針 ....
阿呆は夢見る
阿呆は
阿呆たる故を忘れて
飽きることなく
後悔の下ごしらえを整える

阿呆
見るべき夢を
忘れる
阿呆
己を
飽きることなく
忘れ
相応しくない場の中に
そ ....
ほろびゆく誘蛾灯の王国
歯の隙間から意味だけがこぼれる

時代に捨てられた魂の
残り火を素足で踏み消しながら
蟹のように横向きに歩く

唯一の炎を旗として残すために
わが身を投げ入れる ....
 プラスティック容器工場の駐車場

 緑のフェンス
 黄色のポール




 58番の車止め
 膝から上がない直立した右足には
 左足がない



 ....
葉脈たちの
時間と
小鳥たちの
時間が
交差する
川のほとりで
小石たちの
ざわめきが
鳴り響き

木々たちの
呼吸と
朝の粒子たちの
呼吸が
擦れ違う
霧の中で
水滴 ....
澄み切った
空の青と
頬を切る
冷たい空気
淡い陽が
四角い空間
を緩やか
に照らす季節
残酷な風が
毛羽立つ皮膚
を切りつける季節
 工事現場の
 オレンジと黒の看板の上で
 蛇のように這った赤のランプが
 入れ替わり
 点滅してた
 土の山に停まったショベルカーが
 深呼吸して
 街の明かりはほとんど
  ....
窓の少ない教室の四方は水の壁で
ゆがんだ光のような蜘蛛の糸で結ばれている
クリップを伸ばしたような針金じみた机の列が
右から左へきちんと並んでずっと黙っている

黒い帽子の集団がやっぱり右か ....
人真似の好きな天才稚な顔した細い目の
一羽の鸚鵡が髪ふり乱して沈思黙考の果て
遂に決意したのは消えてしまった空洞の
あの至高の権力者をまねること。かくて
長大な計画は練られ一流官庁企業をあ ....
分離、分離、分離、そして、分離


静かなる透析の果てに
冬が、あり


眼球を、振り切る
圧倒的に、眼球を、振り切る
赤のみ知っていれば許される踏切のサイレンの赤の ....
半身透明のガラス窓の向こうで視界が勝手に傾いて
電気スタンドを次々を倒して
薬瓶の入ったポケットから取り出した丸い地球の
模様を虫眼鏡で確かめていきます

立ち上がった椅子の前でテレビの ....
懐中電灯もって、
おしいれの中。
お気に入りのコイツも一緒に、
おしいれの中。
宇宙ってたぶん、こんな感じ。
それでもゆく
やわらかさを固い外皮でくるみ
吹きすさぶ風に
涙などすぐに乾くだろう
ずぶずぶとはまりこむ
湿地帯のような母性など
もはや要らない
踏みしめられた乾いた父性が
一足ごとに ....
僕たちは今でも窓のないドアを開けるために必死の形相です
向こう側から何も考えずにやってくる眠りの群たちをよけるために
靴下も履かずに枕ばかり投げつけているのです

雲の層のような薄皮を2, ....
歩け
私よ


高い高い 青い 硬い硬い 空に
息も出来ぬほどの銀杏
高い高い 青い 硬い硬い 空へ
撒かれた イエロー
湧く イエロー
破れた イエロー
の 咆哮
 ....
たかめたいか
まもりたいか
とわれたら

あんた
知らないんだよ

剣 なら
詩人 に 向ける
かぐわしいてんごくのような体験は
薔薇体験
といいます
いっぺんにしらがになるような体験は
灰体験
といいます

きみのことばで
薔薇になったり
灰になったり
おお いそがしいこと ....
果実のように眠る蛇が
枯れ木の枝に揺れながら
見知らぬ少女に呑まれる夢を見ている


少女は蛇を知っている
眠ったままの蛇の頭を
深く口に含んだとき
無味の毒が舌を ....
黒に白い点でその周囲に黄色な夜から
ベランダの床に灰色になびく簾の影に目を落とし
すると遠くインドの君の呼吸が混じっていたので
ひと思案して 興味のないフリをして東京のあくびをした
扇風機だけがうざったく回る午後、
夏の気温や引力が肌にまとわり付いて離れやしない
呼吸器官を悪循環というカタチで巡り回るであろう、
このタバコに火をつける瞬間でさえも気に入らない

さあさあ ....
夏の季節は
足早に過ぎて
けらけら笑う人々の
箪笥の肥やしになった
蝉は腐って
秋の落ち葉と同じ色で
どうにかして
ごろごろ転がって
冬の寒さで目を覚した
気が付くと白で
椿色の唇 ....
裂け 落ちる 感情 次々 と 卵 を 産み 発芽 する 悲鳴 を あげて やわらかな 襞 押し 広げる ためらい の ひととき 存在 の さざめき 充満 する 体温 傷 つける 声 爪 を たてて 皮 .... 友よ
四十三年生きてきたことを
誰に誇れと君は告げてくれたのだ

郷愁の募る日には
ふるさとの山並に似た雲が現れて
街々のとよめきは
懐かしの潮騒に転じていくようだ

あれから
十 ....
(range life vol.4)



1. ぽえる。



真珠心母よ。

私たちは知っています
ただちに ほんとうは
口をつぐまなければ ならないのを
天空の音楽に
 ....
 * * *

ロンドンロンドン洟をかむ
黄色い魚を買う
黄色い輪ゴムを噛む
路地裏

モロッコモロッコ靴みがく
赤い鉄砲の夜
赤い床板の板
軋ませて

チベットチベット手を叩 ....
しがみつけずに落ちてくるもの
あああかい赤い父さん父さんあれ何ですか?
サルビアのたおやかな先から
トマトみたいに落ちてくるもの
父さん父さん
ラーメンがのびます
ハナをかんでください
 ....
どのくらい掘ったか
見当がつかない
半分くらいなものか
背後をみやる
暗く光る土のにおいが
鼻をうつ
ここでは時間がわからない
時間は崩れている
なぜか穴は崩れたことがない
光の記憶 ....
男は毎朝はやく目をさまして
裏山の頂上まで登っては
一本だけ生えている樹の枝から実をひとつつんで
かわりに前の日につんだ実の種をくくりつけて
陽がすっかりしずむころに家に帰り着いた
実を ....
暗く輝く舗道に
群れるひとの息
灼熱から遠ざかるからだに
ひっぱられ
脇道にそれて
ひんやりする暗がりに
肩を入れる
夜に流れる
うすい闇は
底なしだ
ぼくは冷たい空気のなかを
 ....
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