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十日前の旅先を思い出そうと 
揺り椅子に腰掛けて  
手にした「大和路」の頁を開く 


一枚の挿絵は 
{ルビ夕暗=ゆうやみ}の時刻 
唐招提寺の円柱に 
そうっと片手をあてる 
 ....
山々の間の空を 
喜び一杯に翼をひろげ  
流れていった 
雀の群 

{ルビ翻=ひるがえ}り 

枝々に小さい太陽を灯す 
柿の林に舞い降りて 
無数の黒い音符になった 

天 ....
植木鉢に身を{ルビ埋=うず}め 
体中に
針の刺さった 
裸の人形 

{ルビ腫=は}れ上がる両腕のまま 
{ルビ諸手=もろて}を上げて  
切り落とされた手首の先に咲く 
一輪の黄色 ....
朝起きて顔を洗い
タオルで水を拭い 
洗面所を出ると 
もう
鏡から出てきた 
(ねぼけた自分) 
が背後からついて来る 

朝食を終えて 
玄関に腰かけ
靴を履き 
開いたドア ....
今迄 
子供のように手を伸ばし 
あれがほしい 
これがほしい 
と駄々をこねて 
 
なにひとつ 
この手につかめず 
「幸せ」はいつも砂になり 
指のすき間から流れ落ちた 

 ....
アハウさんの服部 剛さんおすすめリスト(5)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
挿絵の旅人_〜唐招提寺にて〜_- 服部 剛自由詩308-1-16
空の窓_〜明日香村にて〜_- 服部 剛自由詩308-1-13
さぼてん_- 服部 剛自由詩12*07-4-1
二人三脚- 服部 剛自由詩5*07-3-29
「_両手の皿_」- 服部 剛自由詩907-3-29

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