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   「いつか奇跡」

霧雨の向こうに遠い日の日記 差し出した手が迷い濡れてく

影送り透けて遠のく僕たちの眩ばゆいほどにピュアな夏の日

吹くはずのない甘い ....
ゴルチィエのトーガ戦がせ夜を往く PARCO3宇を神殿として

十色のマニキュア十本の指に塗り分けて極彩都市の迷彩とする

ライダーズ・ジャケツ纏えば超都市の電光噛み切る黒豹となる

生臭 ....
霜葉ふむ皮のブーツの小気味よさこのままいつか見知らぬ冬に


窓ガラスくもる吐息にだまりこむ人のしぐさのその残酷さ


冬{ルビ薔薇=そうび}あかい棘さす指先の血のにじむ{ルビ孤悲=こい} ....
大冬木細き枝より影となるむらさき凍りはじめる空に





          {引用=一九九七年一二月二六日}
はなれたい
のたうつフナの
目に咲くスイレン
薬師堂から
落ちた恋人


仏壇を
焚き木にしては
新宿の
雑踏が踏む
ロータスの花


ぬばたまの
 ....
恋しさにとまどう心シクラメン
    うつむく頬にそっと紅さし


今もなおあの日の夢にくちづける
    クリスマスローズ淡き語らい


冬を恋いうす黄に咲くはわが心
    いつ ....
善悪の徴(しるし)を見たし満月の
           澄清(ちょうせい)のそら雲ひとつなく


端々へ光が渡る天空に
       在って在るべき雲流れ行く


夕焼けがビル ....
生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月

死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由

黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
 ....
海に来て月の遺骸を{ルビ面=も}に浮かべ
    白貝割りて指先を切る


貝やぐら沖に燃え立ち{ルビ蒼蒼=そうそう}と
    胸に巣食うは十三夜月


月葬に送り遣るのは{ルビ鸚鵡 ....
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