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羊水の記憶を辿りたくて
何度も海を呼ぶ
故郷への列車は海も山も知らない
揺れは
胎の記憶
響く音は
血の流れ
唸る、唸る、
私の海
(海にあこがれて南へ出たけれど 。 ....
精霊が来て、持ち去った
取りこぼすのは私
廊下に生温い王冠が落ちている
寒い、
寒いこの手をご覧
肺が裂けてしたたるよクリクーシカ
嘘つき女
私をご覧
私の肌は今、色を変える
....
「お前は泣き方を忘れたね。」
幼い私が言う。
「いらっしゃいませ」
笑う私。
「こちらへお願いします」
客に背を向ける。
途端、
ガラスの中に目が映る。
「悲しい理由は見つ ....
誰とも分からぬ手を取って
淡く土を開いてゆく
群の匂いは 偽って春
繋いだ指先から溶け混じるうち
赤く、白く、甘く染まる
羊水の中、震える声で目覚めを歌う