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はじけた言葉の勢いで
ドアを蹴って飛び出した
夕暮れの空に浮かぶ金星
ポケットには月の石
言わずにいさえすれば
通り過ぎた一日
ひと言 ....
箪笥のいない夜更けに
わたしは廃屋に棲む四つ目と会う
四つ目を思うとなんだかせつなくて
夕暮れ時からたまらない気持ちになる
廃屋が見える路地まで来たら
心臓が喉元ま ....
箪笥はいつも 夜更けに戻る
鼻歌まじりに 廊下を歩き
暗い風呂場で くしゃみする
畳ニ枚分 離した布団に
ドーンと倒れて いびきをかく
酒の臭気に 眠りの鎖が
....
私の中で歌っていた
リズムはもう死んで
あとには振子とぜんまいが
解体工場の鉄くず同然に
ゆっくりと瞬目しながら
光の中に溶け出していくのだった
....
(それは罰でしょうか
それともただの汚辱でしょうか・・・・・・)
樹の幹につと掛けられた梯子に登ったのは
愚かさでしょうか
それとも下卑た好奇心でしょう ....
あなたの腹黒い証明を
鏡に映して見せてください
切り開かれた瞳孔は
直視するのを嫌うでしょう
冷たい夜の水底へ
....
マンジュシュリ・ミトラの死んだ朝
わたしは聖河で衣を洗った
水の底でゆらめく草が
女の黒い髪の毛に見えた
空はおぼろな光に満ちていた ....