除光駅では星たちが手を繋ぎつぎの太陽がくるのを待っている。
惑星になった気分で飛び乗ってなのにここは居場所じゃない気分。
降りる勇気もないのにつぎの駅つぎの ....
まなざしの前後にひとつ小舟きて降りそそぐものを受けとめて居り
湿り気が胸の地層を掘り起こす丘を揺さぶる雷竜の夜
冬と川互いを離れそこに在 ....
守ることすらできない人間だ、という事実を腹に煮る午後
大空に咲かせる花の とりどりの ちりの一つとして 流される
帰り道のスーパーは一人用だと こんなにもだるい ひややっこ買う
....
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夕飯のあと
残した刺身を生姜醤油に漬けて冷蔵庫へしまう
こうしておいて翌日に
焼いて食べると美味しいというのは
母に教わったことだ
そういえば結婚して引っ越す当日に
母がお餞別と言っ ....
うすめられ 重い
緑の水
咽の狭さ
滴の擦る音
昼の天体
気づかれぬ祭
諌める仕草に揺れる
河口が海へ捧げる花
けむり ざわめき
あふれ出る影
....
おさなごの手で目隠しされたみたいに
まだ薄白くぼんやりとした月は
うろこ雲のすき間から顔を少しだけ見せる
指で四角に切り取って覗き込んでみた
ぼくたちよりうんと長く生きたこの風景は
瑞々 ....
いつも掬おうとして
指の間からこぼれ落ちていく
はらり はらりと
そんなふうに
掬いそこなったものが
ゆるゆると
私たちをほどいて
別のものにしていってしまう
それは朝陽を煌々と浴びる
蜜のような栗毛だったろうか
それとも夜のように流れる黒いたてがみ
そんな事は重要ではないのかも知れない
長いまつげを震わせる一頭の馬が
街角をひっそり駆けてゆく
....
無職になってしまった
のら猫にエサをやる
ドブ川の浅瀬を渡る
涼風に
酔いしれながら
手弁当で道草こいてたら
いつの間にかすっかり日暮れて
帰り道がわからなくなってしまった
火薬の ....
本をひらけば詩人が語り出し
テレビの中では
ミュージシャンが愛をうたう
みんながぼくの中に
理想や空想をむやみに植えていく
まだ種であるぼくは
なに色にでも染まるよ
アサガオでもねむ ....