門出だと
自分の心に
言い聞かし
涙ごまかし
無理して笑う
 
 
最後だと
解っているのに
言えなくて
ちゅうぶらりんの
私の心
暗くても
明けない夜は
ないんだと
心に灯りを
ともしてくれた
 
 
かの人は
今は隣に
いないけど
空から全てを
照らし続ける
 
 
いつかまた
話せる時が
来たならば
感謝の気持ちを
君に伝え ....
つないだ手を
そっ、と離して
春までの距離を
歩数で測っていた君は
三十一歩でくるり、と振り返って
僕に何かを伝えてきた

如月駅を走り出した始発列車が
僕を追い越して
君を ....
先輩が急逝した。

スキー場で倒れたんだそうだ。ドクターヘリも飛んだらしい。まだまだ、これからというときに。

先輩が主催していたメーリングリストがある。会員は2500人。毎日の膨大な投稿に、 ....
すきなひとに



「すき」といえる
しあわせ



かみしめたい
 
赤色の電球が落下して
横たえた体の真上で破裂する
透き通って赤いガラスの破片が
ゆっくりと飛散し
白い二の腕の内側や
{ルビ粧=めか}した鼻のてっぺんや
潤んだ眼球に降り注いで
わ ....
告白します。
主食はみかんです。
黄色いお手てのみかん星人。


好きな音楽は、
シューベルト「未完成。」
甘酸っぱい望郷の曲です。


今日は休柑日。
 ....
日曜の朝の家族に紛れつつ朝マックする二人はだあれ?

べたべたで手に負えなくなれパンケーキ
シロップ掛けてあげる、好きだよ

砂糖抜きの薄いコーヒー冷めるまでよその子供を眺めるのやめて  ....
マリーゴールドと
マーガレットの区別がつかない
ツバキとツツジを間違えて
笑われてしまう
アヤメとカキツバタにいたっては
はなっから諦観の境地で
でもそれはちょうど
パスカルとサルトルを ....
ぼぼ


ぼぼってなんだか
可愛らしい
でも
ちょっと恥ずかしいことば



りんご


秋は実りの季節だね
りんご
とか
いい感じ
りんご
って禁断の果実
アダ ....
ふと目にしたその分野が気になって
足を踏み入れたら楽しくなって
いつの間にか
一通りを知るようになっていた
学んだことは正しかった
考えることも正しかった
気がつけば背中に
「初心者マー ....
街を歩いていると
仔猫が身をすり寄せてきて
〈子供にして下さい〉
と言った。

海岸を歩いていると
オットセイの子供が
海から這い出してきて
〈子供にして下さい〉
と言った。
 ....
駅前で兄を探していたら
母と会った
隣に父がいた
移動の最中だった
兄の居場所を尋ねると
二人ともよく笑った
私もいっしょになって
昔のように笑った
父が小さな扉を指差したので ....
さみしいと
寄り添うくせがあるので
いつも
ポケットにウサギ

鼻先を
ちょこんと出して
ふさふさの
耳をたたんで

私があまりにも
にこにこしてるので
人は誰でも不思議そうに ....
タイも
ヒラメも
マグロも
みんないました
白いお皿の上で
おそろいのお刺身でした
海みたい
子が言いました
まだ海を
見たことのない子でした
こんなにも、待っているのに。

時間はゆっくり、まったりで。

明日は遠くて。

こんなにも、楽しいのに。

時間はすっと、過ぎ去って。

逃げられないように、掴もうとしても。 ....
秋の葉に虫の音の葉交じりつつ
   言の葉添えず秋の深さに

{引用=(歌意)
秋らしい紅葉の葉に虫の音が交ざっている
(その趣は言葉では表すことができず)
秋の深さに言葉を添えられない
 ....
昨日の仕事を終えた帰りのバスで 
( 毎日々々同じことの繰り返しだなぁ・・・ 
と心に{ルビ呟=つぶや}きながら疲れてうたた寝していた 

今は亡き・好きな作家のE先生が 
ぼんやり現れ 
 ....
まめクジラの水槽には
売約済みの札が貼られていた
まだ幼いのか
さざ波を飲み込んだり
小さな噴水をあげては
くるくる浮き沈み
はしゃいでいる

こっそり水槽に指を垂らすと
あたたかい ....
いくつもの
道を歩いて
噛みしめる
残した足跡
今なら見える
 コスモスが咲いている。

 いつか、この花の花言葉を調べたことがあった。

 乙女の真心、純潔など....色によって違ってたと思う。

 秋の柔らかい日差しに淡いピンクが透き通って見える ....
電話のむかうの声は、広島から来た
優しいいたわりに満ちた父の声だつた
祖母がさつき亡くなつたと告げてゐた。

東京の空
広島と同じ東京の空
思へば 貴方は疲れを知らせもしなかつた ....
詩を書くあなたは
言葉に恋をすることは
自由ですが
言葉と交際することは
禁止です

愛していることを
愛していると書いては
いけません

愛している以上に
愛を言葉で綴らなけれ ....
雨が降っていたので
花を買わずに
帰ってきました
色が鮮やかだったことだけ
覚えています

雨が降っていたので
コンビニのお弁当を
食べました
ラップを取るときだけ
なぜかわくわく ....
                    



今日は仕事ないから
俺たち遅くまで寝てたっていい
でも空がほら
あんまり青いから
外に出ようぜ
競争だぜ
階段駆け下りて
飼い犬に ....
さよならも告げず終わった夏の恋 朽ちた蓮の葉 爆ぜた秋の実


上弦の月に投げてみたりする 過ぎ去りし恋を球のかわりに


しあわせは賞味期限なしにつき 恋せば回れ 急がば哀れ


 ....
お前の髪
蚕の繭だったらなあ

白くて細くてふわんとしてて
綺麗だろうなあ

俺はお前を紡ぐんだ
糸車を
カラカラ言わせて

それから織って
お前は美しいすべらかな生地になり
 ....
休憩室の扉を開くと 
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた 

ほんのささいなことで 
誰かとすれ違ってしまいそうで 

思わず僕は身をかがめ 
左右の靴を手にとって  ....
夜に、わたしは 
はしたないほど口を開けますから 
どうぞそこから私の中に 
入っておいでなさい
 
内側から私を喰い尽くして 
やがて空洞になった私の躰は 
それでもまだぬるま湯ほ ....
 
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう


私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう


私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
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