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 男がいた
 一度は膝を屈し生まれ在所へ戻った
 そこまではよくあるはなしだ
 だけど男は
 厩へ戻ってきた
 きっとそのとき思ったのだろう
 もう俺にふるさとはないと
 体を鍛 .... 
 万頭の牡馬をかしずかせ
 万頭の牝馬を従えて
 万頭の仔馬を慈しみ
 ホクトベガは
 乾いた風の中に
 立っている
 時空の流れはひとつきりでなく
 すこしずつ異なった世界が
  .... 
 いつかむかし
 草原のくにの村に
 ふたりの若者がいた
 ふたりはともだちで
 いつも馬に乗っていた
 信じていた
 俺の駆る
 雄々しい鹿毛こそ
 僕の駆る
 凛々しい栗毛こ .... 
