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{引用=わたしの家は 田んぼの田の字の真ん中にたっていて 画家が住んでいます
誰も彼の姿をみたことはないのですが 彼は確かにいるのです
どの故郷にも どの町にも どの家にも 彼は必ずいるのです}
....
手を引かれ歩く。
懐かしい匂いのする君
その面影は記憶の水底
私が潜水夫になって強く握り返すと
つないだ手には水たまりができて
空の色を映す。
薄暗い緑の茂みの奥までくると
....
キミのあいさつは
風が頬をなでるみたいで
キミの哀しい歌は
心の奥で優しく響いて
キミの世界には
朝露のひとしずくにも光があふれてた
風がやんで
歌もやんで
静まり ....
人の耳にはピチピチなんて
明るい音ではねる鰯の水揚げ
にぎわう港から鰯そのものへ視線をうつせば
全身でわななく声が 流線形のまま突き刺さる
何万もの銀の鱗が震えている
....
寄せる波に向かって
心の潮「A/アー/(ラ)」の音を放つ
わたしと海はパラレル
返す波からは原始の抑揚
「G/ゲ-/(ソ)」の音がかえってくる
海は ....
あさとよる
うみとそら
砂浜は境界線
ふたつでひとつ
よせてかえして
あいまいに笑ってる
目はふたっつ
耳はふたっつ
瞬きのためいき
ふたつでひとつ
すってはいて
風が遠くを ....
{引用=嬰子の褥
闇のひとつ奥に蠢動する白光体がたしかにあった
血に焼かれた嬰子が視えない手のひらに止まって
私の身体に続いている
いやへその緒はぜんまい状に闇に溶けて
それはもうわ ....
龍のみち
風のかたち
青より高く
のぼってく
うろこ きらり
こころ ひらり
わたしも翔んで
空をつか ....
わかちあう わたしは
みんな わたしたち
花をわかち
春をわかつ
街をわかち
ふるさとをわかつ
笑い声をわかち
淋しさをわかつ
本をわかち
音楽をわかつ ....
散ったさくらを 追いかけて
やさしい手のひらが咲く
痛みも 悲しみも 別れも
あなたのくれたものなら
何一つ手ばなしたくは
ないのですが
白い手のひらにのせて
すべ ....
毎日 ベタベタするのはニガテ
ランチ食べるのも 映画見るのも
買い物行くのも 小旅行だって
ひとりの方が気が楽だったりする
メールの返信だって 律儀な方じゃなくて
よく心配か ....
放たれた密使の矢
固執する月の心臓をえぐる
(月は考える 空に浮かぶものを)
中空のノエシス
無想のノエマ
天蚕糸をはう蛇が赤と交わり
花残月を思惟 ....
ななつ葉/僕
ねぇ、君は「無限の幸福」なんてものを信じられる?
今ココに確かに存在しているんだ
無限の幸福/ななつ葉
のクローバーが。
子供たちがサッカー ....
かあさんと旅した町は
あいにくの曇り空
灰の四辺に囲まれて
虹のリボンが
ゆれてます
ねがいよかなえと
ゆれてます
愛情はピンク 健康はみどり
お金は ....
? 蝶
シ/モクレンの一秒は
蝶の魂と同じ
奇妙に歪んだ美醜の契りが
爪先で蠢いて翅にかわる
うす紫がゆっくりと溶け出し
バスタブの温度を下げる
浴室で眠る蝶の夢は
完全に対称 ....
?さなぎ
蝶になる夢は決して見ない
蝶はさなぎの絶命
羽化を怖れる振り子は
細かく震えつづけている
?さなぎの夢
夢を見た
全ての扉の色彩を留めたまま
完成を拒んで
壊れ ....
季節を生む長針は
花の踊りを軽やかに刻み
日常を運ぶ短針は
轟音の突風で
踊り子のフリルをゆらす
瞬間風速
一面に立ち込めるのは、この春の香り
シャッター音
静止する時間が ....
キミがわたしのこと
「旅してるみたい。」
そう言ってくれたから
キミと一緒に
キミの言葉たちと一緒に
一夜の旅に出かけたんだ。
わたしが風景をめくりながら
「遠くへ。この世界の一番 ....
足元に広がる
春の柔らかな
日差し
言葉と色にあふれたふきのとう
心に焼き付いて忘れられない
こんな時
うまい言葉が浮かばなくて
あなたに贈る一枚を千枚めくって探す
ゴールデンベル
春を運ん ....
昼下がり
並列自転車のトンネルで
独りの黒猫に出会いました。
一目で野良だとわかるほど
やせ細った背中が
今にも消えてしまいそうに見えたので
カタカタ揺 ....
さ。く。ら。ち。る。ち。る。
さ。く。ら。ち。る。
文字は花びら、桜散る。
て。ん。て。ん。て。ん。て。ん。
転々と渡り暮らした町々の
別れの記憶に桜散る。
....
この浴槽を欲情で満たす牡丹雪
ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす
この雪は溶けるため
この白は忘れるため
あなた ....
書き出しの言葉は、思いつかないから前略。
今年の東京は春が来るのが早いよ。
本当の冬は来ないままだから、故郷の二月、思い出してたところ。
−20℃、ダイヤモンドダストを肺に吸い込む日、 ....
ミモザの下でキミを待つ、キミを待つ。
雨は銀灰
傘を打つ音、なる、なる、なる。
ちりちり りりり 燃える線香花火。
さわさわ さわわ ざわめく拍手。
ぽんぽろ ぽろろん ....
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