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水も{ルビ狭=せ}に 現当眺め {ルビ花筏=はないかだ}
往く時さえも ただほひろかに
わくらばに 行き逢ふ道も ....
{ルビ翠=すい}の{ルビ竹生=たかふ}に月夜影
稲穂に似たる紫は 二目と見れぬ稀有な花
最期の時を飾らんと 今を盛りと咲き満つる
風も無き夜に{ルビ竹葉=たかは}が騒ぎ 月花に浮 ....
朔
暗い闇夜に 星は降り
褪めた吐息を ひと抱え
{ルビ虚舟=うつおぶね}に 腰掛けて
平らな川面を 往来せん
二日月
茜の空に 銀の糸
透ける光が 胸を射し
{ ....
無明の闇から こちらを見つめ
綺麗な月は嗤うのです
虚空に伸べた 手の平に
冷たい銀の棘を刺し
{ルビ水面=みのも}を{ルビ掬=きく}す 白い手に
波紋に千切れた ....
七つ下がりの風通り
透かし模様の薄絹に
{ルビ囁=つつめ}く日射が
なだらかに滑り・・・・
{ルビ疾=と}うの昔に置いてきぼりの
ブリキの箱で ひしめく玉が
熱 ....
薄ら{ルビ氷=ひ}染める朝影は
思い焦がれた凍て蝶の
きらと溶け合う
玄冥の{ルビ吐息=いき}―――
砂絵のように脆い心で
{ルビ消=け}残る跡を 思い{ルビ染=し} ....
赤いおととが ひらひらと
右に左に身をくねり
赤いおべべは誰のため
水に弾けて凛と舞う
するりと冷たい{ルビ玻璃=はり}のなか
くるりと廻って裏返し
{ルビ ....